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2006年05月25日(木) 00時00分

『私利私欲の脱税、絶対にない』 『無限』脱税きょう判決 東京新聞

 F1のレース用エンジン製造で知られた自動車部品メーカー「無限」(朝霞市)社長で、計約十億円を脱税したとして法人税法違反罪に問われた本田博俊被告(64)の判決が、二十五日午後、さいたま地裁で言い渡される。本田被告は公判で一貫して無罪を主張してきた。判決を前に東京新聞のインタビューに応じ、判決に向けた心境などを語った。 (安藤恭子)

 ——現在の心境は。

 自分には管理監督をきちんとしなかった責任があり、多くの人に迷惑をかけた。しかし脱税を指示したり、私利私欲のための脱税などは絶対にしていない。仮に有罪になっても当然控訴する。やっていないのに認められないでしょう。

 ——二〇〇〇年十月期までの三年間が脱税期間として起訴されている。会社が十億円もの脱税をしていたのに本当に気付かなかったのか。

 少なくとも二〇〇〇年末までは無限は累積赤字の状況と思っており、脱税の認識がなかった。(共謀したとして同罪で起訴された)広川則男被告(63)が不審な資金移動をしているという義兄の指摘もあり、その後に無限の経営状況を調べ始めて気付いた。自分で言うのもおかしいが、私は本当にばかで経理を任せっぱなしだった。感覚が違うと言われればそれまでだが、私の父(ホンダ創業者の故本田宗一郎氏)もそうだった。当時は無限の経営支援をめぐりホンダとの確執があり、仲介してくれたホンダ出身の広川被告を信じきってしまった。

 ——検察側は動機を広川被告との合意文書に記された「本田宗一郎記念館」の設立費用や本田家の相続税対策としたが。

 私には動機がない。とてもクリーンだった父の記念館を脱税の金で造るはずがないし、私費で出せる。相続税対策とするなら金額が大きすぎるので、逆に無限の脱税額では足りない。

 ——モータースポーツへの思いは。

 幼稚園のころから国内のレースに連れて行ってもらい、大好きだった。模型作りを楽しみ、父ほどの実力はなかったが、無限で車やエンジンを造る喜びを知った。自分の夢そのものだった無限という会社を脱税に使うことは絶対にない。

■被告に無罪の可能性

 「無限」の脱税事件では、法人税法違反の罪で社長の本田博俊被告=求刑懲役四年=と、元監査役の広川則男被告が起訴された。広川被告は二十三日に、さいたま地裁で懲役三年の有罪判決が言い渡された。

 広川被告の判決では、広川被告を主犯として、本田被告との共謀を否定。二十五日の判決では本田被告に無罪が言い渡される可能性がある。

 検察側は、本田被告は広川被告と共謀し、架空の材料費や減価償却費を計上するなどして二〇〇〇年十月期までの三年間に約二十八億円の所得を隠し、計約十億円を脱税したとして、起訴した。

 検察側は、ホンダ創業者の故本田宗一郎氏の長男である本田被告が、本田家の相続税対策や本田宗一郎記念館の建設費を工面するため、脱税を了承したとした。

 これに対し、本田被告は「広川被告にだまされて書類に署名した。横領の被害者だ」として無罪を主張している。広川被告の判決でもさいたま地裁は「本田被告は自ら会計事務所に脱税の調査を指示しており、共謀には合理的な疑いが残る」と指摘した。

 本田被告は会社の金を流用されたとして広川被告の関連会社に約二十六億円の返還を求める訴訟を起こし、東京高裁は四月、全額の返還を命じる判決を言い渡すなど、民事訴訟でも本田被告に有利な判決が出ている。

  (安藤恭子)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/stm/20060525/lcl_____stm_____001.shtml