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2006年05月24日(水) 03時37分

銀行6グループ 最終益3兆円超、過去最高 のど元過ぎて…顧客軽視産経新聞

 三井住友フィナンシャルグループ(FG)とりそなホールディングスが二十三日、平成十八年三月期決算を発表、大手銀行六グループの決算が出そろった。不良債権処理が進み、各行の利益は大きく改善。三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友FGの三メガバンクがそろって最高益を達成するなど、六グループ合計の最終利益は前期比で四・三倍の三兆千二百十二億円と、バブル期を超えて過去最高を記録した。
 三井住友FGの連結最終利益は不良債権処理費用の大幅な減少などで、六千八百六十八億円と統合以来過去最高。前期の二千三百四十二億円の赤字から一気に九千二百十億円改善した。りそなも住宅ローンの増加などが寄与し、最終利益は4・8%増の三千八百三十二億円となった。
 六グループ合計の最終利益は昭和六十三年の一兆五千七百二十一億円(都市銀行と信託銀行の合計)を大幅に超え、過去最高となった。
 決算復調の主因は、不良債権処理費用が景気回復による融資先の経営改善で大幅縮小。逆に、融資先破綻(はたん)に備えて計上していた費用が利益に繰り戻される「貸し倒れ引当金戻り益」が、三菱UFJで約七千億円、みずほで約千八百億円に上った。ただ、十九年三月期見通しは、貸し倒れ引当金戻り益が縮小する三菱UFJやコスト増を見込む三井住友FGが減益。みずほFGは過去最高益更新を見込んでいる。
     ◇
 住宅ローン金利はすぐに上げるくせに、預金金利は低いまま。支店が減る一方で、中小企業への金融派生商品の“押し売り”や暴力団系企業に対する顧客情報漏洩(ろうえい)など足元の不祥事は増えるばかり。大手銀行グループに対する「もうけすぎ」批判が絶えないのは、銀行が最高益決算と胸を張れば張るほど「サービス」「顧客重視」が実感できない、いらだちが利用者の側にあるからだ。(渡辺浩生)
 好決算をはじき出した大手銀行では、昨年から不祥事が相次いだ。
 中小企業への金融派生商品押し売りで行政処分を受けた三井住友銀行。三菱東京UFJ銀行では元支店長代理による巨額詐取事件や派遣社員の約十億円の預金横領事件が発覚。みずほ銀の支店課長クラスは昨年、暴力団系企業に顧客情報を横流しして逮捕された。
 畔柳信雄・三菱UFJ社長はトップバンクで相次ぐ不祥事の背景に「効率優先主義があった」と語る。銀行の延命、収益目標の達成、人員リストラ…。効率化といえば聞こえはいいが、要は銀行の都合を優先させた顧客軽視だった。
 バブル崩壊後、不良債権問題の悪化による資金繰り難に陥った銀行は預金獲得に走る一方、「貸し出しを減らせ」という大号令のもと、「貸しはがし」に走る。一方で日銀がゼロ金利政策を導入、預金利息はほとんどつかなくなったが、預金者は「預金が全額保護される代償」と納得するしかなかった。
 ところが、量的緩和策による潤沢な資金供給で資金繰りに困らなくなると銀行は一転、「もうからないから預金はもういらない」(大手行役員)と預金を軽視。投資信託販売などの「非金利ビジネス」を拡大していった。
 景気が上向き、株価も上昇、いわゆる銀行にとっての「非常事態」の終わりとともに今年三月、今度は量的緩和策が解除されるやいなや、大手行は稼ぎ頭の住宅ローン金利を真っ先に上げ、従業員のボーナス引き上げに走った。
 しかし、預金金利は普通預金で年0・001%、一年定期で0・08%程度。統廃合で店舗は減り、窓口やATMの混雑も、役所のような冷ややかな顧客応対も相変わらず…では、「もうけ過ぎ批判が起こらないほうがおかしい」(中小企業経営者)。預金金利に対する不満に各行は「市場金利に連動している」(畔柳社長)というが、預金者の利息収入を犠牲にして金利変動を日銀が止めたのは、金融システム安定という名の「銀行救済」にほかならなかったはず。
 好決算を笑顔まじりで発表したみずほの前田晃伸社長は、ATMや投資信託販売などの「手数料も引き下げるべきでは」との指摘に、「なんでもただにしろというのはやりすぎ」と反論する。
 「もうけ過ぎ」批判を銀行はどう受け止めるのか。利用者の声なき声をどう経営に生かすのか。今こそ銀行を試すときがきた。
     ◇
≪収益力はまだ不十分 三菱UFJ・畔柳信雄社長≫
 海外の有力銀行と比べ収益力は十分でない。一方で顧客、株主、従業員、社会のステークホルダー(利害関係者)に支えられていると認識している。グローバルな収益力向上と日本企業のあり方としての利益還元が経営課題としてある。
≪便利な商品でお返し みずほ・前田晃伸社長≫
 利便性の高い商品を提供することで顧客にお返ししたい。手数料の引き下げはあまりいいことではない。戦略的な無料化はあっても、なんでもただはやりすぎ。手数料に見合った価値あるサービスを提供しないと、逆に顧客は離れていく。
≪手数料値下げ進める 三井住友・北山禎介社長≫
 業績回復で公的資金完済も見えてきた。今後は株主還元、顧客還元をバランスをもって考えていく。商品・サービスの付加価値を高め、利便性を重視した顧客本位のスタンスを一層強めたい。手数料の無料化や引き下げも進める。
≪サービス改革を推進 りそな・細谷英二会長≫
 今のサービス改革を進めることが顧客への利益還元。顧客の目線で考えて行動し、最終的に支持、選択される銀行を目指す。顧客とのコミュニケーションを通じて、付き合ってよかったと思われる銀行になる努力を続けたい。
≪まず公的資金を完済 三井トラスト・古沢熙一郎社長≫
 いたずらに規模拡大しようとは思ってない。まず公的資金(残高四千三百二十三億円)を完済させ、株主配当を増やしたい。金融機関としての責任、使命を考え、社会的な還元を進めていく。従業員の給与改善も状況が好転すれば考えていく。
≪市場に応じ金利乗せ 住友信託・森田豊社長≫
 預金金利は、基本的に市場金利に対応して上げていく。店舗の数が(メガバンクと比べ)少ない分、コストが低いので、その分預金金利に上乗せすることは考えられる。信託らしい商品やサービスを提供することで社会に貢献していきたい。
(産経新聞) - 5月24日3時37分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060524-00000015-san-bus_all