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2006年05月24日(水) 00時00分

“森”は消えるのか 敷地大部分を売却 東京新聞

 世田谷区北烏山で、うっそうと茂る樹木が地域の名所だった「岩崎学生寮」の敷地の大部分が民間に売却されていたことが23日、分かった。売却話が持ち上がった数年前から、区では公園化を検討し、購入を申し入れていたが、金額面で折り合いがつかなかった。地域に残る貴重な“森”が失われる可能性が強まったことに、住民からも惜しむ声が聞かれる。 (浅田晃弘)

 同学生寮は、首都圏で生活する鹿児島県出身の学生を支援するため、故岩崎與八郎氏が一九五一年に設立した。岩崎氏は、バスやホテル、ゴルフ場など幅広い事業を展開する「岩崎産業グループ」の創業者として知られる。

 もともと畑だった約三万八千平方メートルにも及ぶ敷地には、岩崎氏の意向でさまざまな樹木が植えられ、何本もの木が十数メートルにまで育っている。現在は財団法人岩崎育英奨学会が運営している。

 また、竹林や桜、池を配置した庭園などもあり、敷地沿いに走る烏山通りから内部の様子がよく見え、散歩コースとして近所の人たちには親しまれていた。

 同区によると、財団側が売却を考え始めたのは、四年ほど前のことという。区では防災公園の候補として購入を検討し、交渉を続けてきたが「区で買える額と、財団の希望が一・五倍もの差があり」(同区)、話はまとまらなかった。

 売却されたのは、鉄筋コンクリート三階建てで、七十人の学生が暮らす寮の建物周辺を除いた約三万二千平方メートル。寮は今後も存続するという。財団は、売却額、売却先とも一切明らかにせず、売却の理由についても「資産活用策の一環」としかコメントしていない。

 同区烏山総合支所は「新しい所有者はまだ確認していないので、開発目的は分からないが、住民の憩いの場として、少しでも緑を残す方向で活用してほしい。区でも可能な限り相談に乗りたい」と話している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tko/20060524/lcl_____tko_____000.shtml