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2006年05月24日(水) 00時00分

『計画反対』 増える住民紛争 新座市 マンション林立に苦慮  新座市役所の隣には平林寺の広大な雑木林が広がっている=新座市内で 東京新聞

 広大な境内林の平林寺などで知られる新座市。市内には多くの緑が残る。その半面、東京・練馬などに隣接し通勤に便利なため、各地でマンション建設が進んでいる。計画をめぐる周辺住民と開発業者の衝突は後を絶たず、市も対応に苦慮している。「建設反対」の現場を訪ねた。 (土門哲雄)

 「あっという間に雑木林が消えてしまった。もう野鳥の鳴き声も聞けないと思うと悲しい」。住民男性(63)が嘆く。

 周辺は古くからの木造家屋が並ぶ高台の閑静な住宅街。最寄り駅まで約三キロあり、住民の大半はバスや自家用車を利用する。今年一月、広さ約四千平方メートルの雑木林が突然伐採され、十五階建てマンションの建設計画があることが分かった。

 周辺住民は日光が遮られるなどとして「建設反対の会」を結成。業者側に六−八階建て程度への計画変更などを強く求めたが、認められなかった。さらに、渋滞を招くとして駐車場やごみ置き場、玄関口の変更、歩道の拡幅などを要望。業者側は車の出入り口の変更や、ごみ収集車用スペースの確保などには応じ、ほかの件についても「現在も協議中」とする。しかし、既に建築確認を申請し、ほぼ当初の計画通りで着工される見込みだ。

 住民側は三月、市長に紛争調整申し出書を提出。「業者は建てたら、それでおしまい。市は『緑あるまちづくり』を掲げているのだから、市民の声にもっと耳を傾けてほしい」と訴えている。

 市開発指導課は「都市計画法、建築基準法など法令に適合していれば計画を認めざるを得ない。指導はしても変更を強制はできない」という。住民側の紛争調整申請についても「双方の話し合いが進められており、市が調整に乗り出す段階ではない」としている。

 ほかにも、市内でマンション計画に反対する住民側の動きがある。耐震強度偽装事件で問題となった「イーホームズ」が建築確認した十三階建てマンション。住民側の申し立てに基づき、さいたま地裁が構造計算書を証拠保全した。マンション建設は中断した状態だ。

 また、別の十五階建てマンション計画では、住民側が「建築基準法で一棟の建物として建築確認申請をすると、日影規制に違反するため、敷地を分筆して二棟を建設し、規制を免れたのではないか」と主張。市議会に陳情書、市に建築確認取り消しを求める審査請求書を提出している。

 志木市では、マンション業者に緑を残すことを求める「自然再生条例」がある。慶応志木高の寮跡地に建てられた高層マンションでは、住民や市と協議を重ねた大手業者が緑地を公園化し、市が無償で長期に借り受けて保全している例がある。また、和光市は三月、県内で初めて「絶対高さ制限」の実施に踏み切った。新座市も本年度中に同様の「高さ規制」を導入する方針という。

 民間調査会社の不動産経済研究所は「マンション販売は東京都区部から、埼玉など周辺に広がっている。団塊ジュニア世代以降の若年層向けで比較的安価な物件の需要が高まっている。この傾向はしばらく続きそうだ」としており、県南部のマンション建設ラッシュもまだまだ続きそうだ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/stm/20060524/lcl_____stm_____000.shtml