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2006年05月21日(日) 01時45分

5月21日付・読売社説(1)読売新聞

 [米国産牛肉]「危険部位混入の失態繰り返すな」

 米国産牛肉の輸入が、7月にも再開する見通しになった。

 日米の専門家会合が再開条件で大筋合意した。6月には正式決定の運びという。日米関係の懸案の一つに、解決のめどが立ったことは歓迎したい。

 今年1月に輸入禁止処分が出されたのは、米国産牛肉に、危険部位である背骨が混入していたことが原因だ。あってはならない米国側のミスである。

 こうした失態を繰り返せば、米国産牛肉に対する日本の消費者の信頼は、完全に失われよう。米国側は今後、日本向けに輸出する牛肉について、品質管理に万全を期さねばならない。

 日本側も、米国任せにせず、日本向けの牛肉処理施設の検査を自ら行うなど、厳しく目を光らせることが肝心だ。

 米国産牛肉が最初に輸入禁止となったのは2003年12月のことである。米国内でBSE(牛海綿状脳症)の感染牛が確認されたためだ。その後、日米交渉や日本国内の手続きに時間がかかり、昨年12月にようやく解禁にこぎ着けた。

 その時の条件は〈1〉20か月以下の若い牛の牛肉であること〈2〉脳や目、背骨など、BSEを引き起こす病原体が蓄積しやすい危険部位を取りのぞくこと、だった。だが、再開わずか1か月後の背骨混入が、すべてを台なしにした。

 米国側の調査によると、問題の牛肉を出荷した施設の従業員と、米政府の検査官双方が、日本向けの輸出条件を理解していなかったのが原因だった。

 米国側は、対日輸出を認可した35施設の再点検を実施し、従業員や検査官への教育も改めて繰り返した。こうした再発防止策を会合で詳しく説明し、日本側も基本的に了承した。

 日本側は会合で、35施設を日本の検査官が事前に査察することや、輸出再開後に米国の検査官が実施する抜き打ち検査に、日本の検査官が同行することなどを要求した。米国側は、受け入れに前向きの姿勢を示しているという。

 日本側の要求は当然だ。この要求が最終的に受け入れられるよう、今後、細部を詰めなければならない。

 昨年12月の輸入再開時には、米国内の施設を日本側が査察している間に、輸出が始まってしまった。また、日本側の査察対象は、一部の施設だけだった。こうした中途半端な措置が、背骨混入の遠因になった、とも指摘されている。

 米国産牛肉に対しては、解禁を待ち望む牛丼ファンがいる一方で、懸念を示す人も多い。消費者が安心して食べられる仕組みをどう作りあげるか。そこに米国産牛肉の復活がかかっている。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060520ig90.htm