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2006年05月21日(日) 09時29分

公判前手続き導入半年 東北は23件 迅速化顕著河北新報

 刑事裁判の争点を初公判の前に絞り込み、審理の迅速化を図る「公判前整理手続き」がスタートして半年が過ぎた。前ライブドア社長堀江貴文被告(33)の証券法違反事件に適用され、注目度もアップ。東北ではこれまで、23件に適用されている。狙い通りスピードアップに効果を上げる半面、「被告の防御権を損ねる可能性がある」との指摘も根強い。

 仙台高裁によると、東北各県の適用は多い順に岩手11件、青森6件、山形3件、宮城、秋田、福島1件ずつ。岩手は裁判所が運用に積極的で、重大事件に限らず、審理が長引きそうな複雑な事件にも取り入れている。

 宮城では、白石市で昨年10月、コンビニエンスストア女性店員(28)が元同僚の男(32)に殺害された事件に適用された。起訴翌月の12月から1月までに、3回の公判前整理手続きを実施。手続き終了3日後に初公判を開き、2月初めの4回目の公判で判決が出た。

 初公判から判決まで15日間、起訴から数えても3カ月間で終結。東北で初めて手続きが適用された山形県米沢市の業務上過失傷害事件でも初公判から9日目に判決が言い渡されるなど、スピードアップの有効打になっている。

 手続きは迅速化のほか、被告を長期間拘置して自白を引き出す「人質司法」を改める可能性がある。ライブドア事件で、堀江被告は逮捕から94日ぶりに保釈された。否認事件では異例の早さ。手続きで証拠と争点が整理され、裁判所が「証拠隠滅の恐れがなくなった」と判断、保釈を早めたとみられる。

 一方、被告に不利な側面もある。白石市の事件では初公判後に殺意の芽生えた時期が新たに争点化し、弁護側が反証を試みたが、公判での新証拠請求は事実上制限されており、不発に終わった。

 弁護側は「殺意は被告の内面の問題で、引き出すのに時間がかかる。被告からじっくり話を聞いて胸の内を解き明かしてきたが、現制度だと時間が足りず、十分な弁護ができない」と話す。

 仙台弁護士会のメンバーで、刑事弁護に詳しい弁護士の一人は「いわゆる『隠し球』など、手続き中に主張しなかったことが認められない可能性がある」と不安視する。

 その上で、「公判が整理手続きで前倒しされ、『裁判官予断排除の原則』が揺らぎ、公判が儀式化する。迅速化を求めるあまり、被告の防御権が阻害され、裁判で最も重要な公正さが失われる懸念がある」と指摘する。

[公判前整理手続き]初公判の前に争点と証拠を非公開で整理する手続き。一般市民が刑事裁判に参加する裁判員制度が2009年度までにスタートするのを見据え、05年11月に始まった。検察官は証明予定事実を明らかにし、証拠を開示。弁護人も争点を明示し、証拠を示さなければならない。手続きには被告も出席できる。採用する証拠や証人、公判日程は手続きの場で決まり、終了後は新たな証拠請求を制限。初公判では検察、弁護側双方が冒頭陳述を行い、手続きの結果を裁判所が説明する。公判は連日開廷を目指す。公判途中に同様のことを行う期日間整理手続きもある。
(河北新報) - 5月21日9時29分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060521-00000008-khk-toh