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2006年05月19日(金) 00時00分

追悼 山崎潮・千葉地裁所長朝日新聞

 「今まで裁判所は受け身で、プロの裁判官に足りない感覚やものの見方があった。我々も外に出て、国民の方にも中に入って頂く。その二つが相まっていい裁判にしていきたいんだ」
 政府の司法制度改革推進本部事務局長として裁判員制度の導入にかかわり、04年末の千葉地裁所長着任後も、ラジオ出演などで裁判所の新しい取り組みを発信してきた山崎潮さん(62)が16日、逝った。
 「裁判員制度が始まる前に、特に若い裁判官には、分かりやすく話すことに慣れてもらわないと」
 「動く裁判所」を掲げ、裁判官による学校での出前講座など、広報活動を積極的に進めた。これまで名前しか書かれていないのが慣例だった所長の名刺も、連絡先がある「普通の名刺」に改めた。
 内閣府の世論調査で7割の人が裁判員に参加したくないという結果が出ている。「でも、検察審査会制度で(一般から選ばれる審査員を)やり遂げた人たちに聴いてみると、『やって良かった』という回答が9割以上」と自信を見せていた。
 裁判官に任官してから36年間のうち、約半分を法務省の役人として過ごし、法案を通すために数々の政治家とも渡り合ってきた。落選時も付き合いを続けた与謝野馨・経済財政担当相は、司法制度改革が山場を迎えたときには、衆院法務委員会の理事として、山崎さんの奮闘ぶりを間近で見ていた。「裁判員制度の国会答弁はほとんど彼1人でやっていました。司法制度改革に、ともに取り組んできた仲間を失って残念です」と悼んだ。
 裁判員制度の周知のため、法曹三者で実施した「模擬裁判」では、わかりにくい言葉遣いなどに厳しい注文をつけていた。ただ、最近は「みんな話すのがうまくなってきたよ」と目尻を下げることが多くなった。裁判員制度は09年5月までにスタートすることになっている。実際には年度初めの4月1日から導入されるんじゃないかな、と期待を込めて話していた。定年は、その2日後のはずだった。(南彰)

http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000605190004