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2006年05月19日(金) 21時35分

埼玉県越谷市に8900万円の賠償命令 医療過誤訴訟朝日新聞

 埼玉県越谷市立病院(山本勉院長)で卵巣がんの手術を受けた女性(22)が慢性腎不全になったのは、抗がん剤を長期間、漫然と投与したせいだとして、女性と家族が越谷市を相手取り、約1億円の損害賠償を求めた裁判の判決が19日、さいたま地裁であった。近藤寿邦裁判長は「医師は腎機能の低下を見逃し、適切な治療をしなかった過失がある」と認め、市側に総額約8900万円の賠償を命じた。

 同市に住む女性は、9歳だった93年11月、同病院で卵巣がんと診断され、卵巣などの摘出手術を受けた。翌年3月に退院し、その後2年間、抗がん剤を投与された。96年11月、女性は治る見込みのない慢性腎不全で、いずれ透析をしなければいけないと診断された。

 判決は、入院当初、女性に腎疾患がなかったことなどから、長期間の抗がん剤投与で腎不全を発症したと認定。遅くとも女性の腎機能が入院時の半分に低下した95年6月ごろ、抗がん剤の投与を中止して治療を始めていれば、慢性腎不全にならなかった可能性が高いと判断した。

 市は19日、「承服できない。内容をよく検討したうえで控訴したい」との談話を出した。

http://www.asahi.com/national/update/0519/TKY200605190341.html