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2006年05月19日(金) 02時24分

上限金利引き下げ、カード業界苦悩朝日新聞

 いわゆる「グレーゾーン(灰色)金利」の撤廃問題で、クレジットカード業界が揺れている。グレーゾーン金利でのキャッシングサービスが、収益の大きな柱のためで、撤廃は消費者金融業界と同様に死活問題。カード各社は、新たな収益確保に向け動き始めている。

主なカード会社の売上高に占めるキャッシング収入

 グレーゾーン金利は、利息制限法の上限金利を上回り、超過すると刑事罰のある出資法の上限金利までの金利。多重債務者急増の一因とされ、出資法の上限引き下げなどで、両法の上限を一致させる方向で政府・与党内の議論が進んでいる。

 撤廃で売上高(営業収益)が200億〜300億円減る——。先月28日の決算発表でUFJニコスが公表した試算が、波紋を広げている。同社の連結売上高(06年3月期)3208億円の約1割にあたる。18日に決算を発表したクレディセゾンも、撤廃なら「経常利益ベース(06年3月期連結711億円)で150億円くらい減益になる」(前川輝之副社長)と、衝撃が広がる。

 UFJニコスの場合、売上高のうちキャッシングが1318億円と全体の41%を占め、影響が大きい。売上高に対するキャッシング収入比率は、最大手のJCBなど銀行系は低いが信販系や流通系で高く、7割を超す会社もある。同日までに出そろった05年度決算でも「グレーゾーン金利」部分の過払い金返還は、各社の負担になっている。

 カード会社の収益は、買い物代金を決済するショッピングと、キャッシングを含む融資が柱だ。ショッピングは、利用者が一括払いを選択する場合が多く、カード会社にとっての収入は加盟店が支払う「買い物金額の2〜3%程度」(業界関係者)の手数料がほとんど。薄利のショッピングに比べ、20%を超す金利が取れるキャッシングは魅力で、「無理な貸し出し競争をしているわけではないが、結果として収益の柱になっている」(イオンクレジットサービス)。

 カード各社は数百万人のカード会員を抱え、「年間100億円」(クレディセゾン)規模の巨額システム投資を続ける。「カード決済システムは社会の基盤。維持するのにキャッシングの収益は不可欠で、認めてもらわないと」と業界関係者からは不満も漏れる。

 最近の長期金利上昇で、カード業界には資金調達コストの上昇というマイナスも働く。「天井(貸出金利)が下がって床(調達金利)が上がれば、部屋を横に広げるしかない」(オリエントコーポレーションの上西郁夫社長)と、新たな収益確保は緊急課題だ。

 有力とされる収益確保策の一つが、金利を20%未満に抑えたローン専用カード。各社は優良顧客の囲い込みを目指すが、肝心の資金需要は不透明だ。限度額内ならいくら買い物をしても毎月の支払額が一定の「リボ払い」も、各社が普及に力を注ぐ。一括払いより手数料収入が増えるためだが、利用率はショッピングの5%程度にとどまるうえ、「支払額が一定のため借金している感覚が薄くなる」との批判があるのも悩ましい点だ。

http://www.asahi.com/business/update/0519/003.html