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2006年05月18日(木) 13時10分

オークション身近に ネットと違い素人でも安心産経新聞

 参加者がセリ方式で落札する美術品オークション。一部の業者や富裕層の世界と思われていたが、ここ数年、初心者が気軽に参加できる場も増えてきた。取引商品も美術品のみならず、陶磁器や宝石、時計、ワインなど、ぐっと身近になってきている。オークションを上手に使って、"掘り出し物"を探してみては。(中曽根聖子)

≪誰でも参加≫

 「この作品は三万円からスタート! 三万五千円、四万円…はい五万円、五万円、皆さんよろしいですかっ」

 壇上に立つオークショニア(競売人)が次々と値をつけ、ハンマーを叩きながら落札価格と落札者の番号を呼び上げる。この間わずか三十秒。

 先週の土曜日。東京・銀座で開かれた西洋美術のオークションには、プロの業者のほか、会社員や夫婦連れなど約二百人が参加した。平山郁夫や東山魁夷、シャガールなど著名画家の作品が続々と競り落とされた。

 近くの友人を誘って参加した神奈川県の男性会社員(38)は、「陶芸作品が好きで三年前に初めてオークションで購入した。市価より安く入手するチャンスなので、こまめにチェックしている」と言い、熱心にメモを取っていた。

 かつては高級ホテルを舞台に億単位の作品を競り落とすイメージが強かったが、今は数万円の作品を取引するオークションも各地で開かれている。

 この日の主催者「シンワアートオークション」(東京都中央区)は高額アートが中心だが、事前に登録すれば誰でも参加が可能で、実際に参加者の大半が一般個人だ。比較的手ごろな版画などをそろえた今回は、二、三万円台の落札も相次いだ。

 家具や宝飾品、時計、ワインなどアイテムを拡充した同社の倉田陽一郎社長は、「宝石のオークションでは主婦や若いカップルが多い。ライフスタイルにあわせ自分の欲しい物を納得した価格で購入するため、オークションを賢く利用する人が増えてきた」とみる。

≪無料の美術館≫

 版画や陶芸、掛け軸などの美術作品からマイセンやバカラといった高級洋食器まで扱う毎日オークション(江東区)は、会社員がポケットマネーで買えそうな手ごろな価格帯が中心だ。それでも出品作はすべて、各分野の専門家に鑑定を依頼して作品の真贋(しんがん)を保証する。

オークション出品作が一堂にそろう下見会は、無料でアートを鑑賞できる場でもある=東京・門前仲町の毎日オークション

 佐々山泰弘社長は「トラブルが後をたたないネットオークションと違って、素人でも安心して参加できるのが最大の魅力」と語る。

 公開の場で需要と供給に基づいて価格が決まるオークションは、中間の流通利益や経費を省けるため市価より安く購入できるケースが多い。また、一度に数百点から千点もの作品がそろう下見会は、「無料で見られる美術館」とも言われ、名作・名品を鑑賞する絶好の機会でもある。同社の場合、オークションは事前の会員登録が必要だが、下見会は自由。「これほど多くの作品に会える場所はほかにない。気軽に立ち寄って好みの作品を探してみては」と話す。

≪自治体の競売で知名度急上昇≫

 最近は東京都や神奈川県のように、税金の代わりに差し押さえたピアノや車をオークションにかける自治体も目立ち、その認知度も急上昇。名古屋国税局が4月に開いたオークションには約300人が参加、棟方志功の絵画など"掘り出し物"が落札された。

 美術雑誌「月刊美術」の金子美樹編集長は「アートを購入する一つのスタイルとして国内で定着しつつある」と分析。初心者が上手に楽しむコツとして、出品作を掲載したカタログの事前購入を勧める。「カタログを見て気に入った作品があれば下見会に足を運び、傷や色合いなど必ず現物を確認してほしい」。カタログはオークション運営業者のホームページなどを通じて購入できる。

 また初心者が特に注意したいのは、相手と駆け引きしながら競り合う独特の雰囲気だ。

【2006/05/18 東京朝刊から】

(05/18 13:10)

http://www.sankei.co.jp/news/060518/bun066.htm