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2006年05月18日(木) 22時21分

NSA監視プログラムへの協力を疑われたAT&Tが、法的承認の存在を示唆CNET Japan

 サンフランシスコ発--AT&Tの弁護士は米国時間5月17日に開かれた法廷で、同社が国家安全保障局(NSA)に通信設備を使わせるよう、Bush政権が法的承認を与えた可能性を示唆した。

 連邦法は「場合によっては、通信会社が(行政に対して)情報を提供する必要を認めている」とBradford Berenson氏は語った。同氏は2001年の同時多発テロ直後にBush米大統領が NSA監視プログラム を承認した当時、ホワイトハウスの法律顧問だった人物で、現在はワシントンDCの法律事務所Sidley Austinのパートナーを務めている。

 AT&Tは違法な盗聴行為の共謀者などではなく、「本質的に罪のない傍観者だ」と Berenson氏 は言う。

 AT&Tが主張したいのは、 合衆国法律集第18編第2511条 に定められた、不明瞭な部分についてなのかもしれない。同条は、司法長官が承認した場合に限り、通信会社が連邦政府に「情報」および「設備」を提供することを認めている。この承認は「・・・米国の司法長官によって書かれ、令状や裁判所命令を必要としないことが法律によって定められている証明書」の形式によるものでなければならない。

 まだ公表されていない情報によって「罪のないことが示され、AT&Tの行動が申し分のないものだったことが明らかになるだろう」とBerenson氏は語った。しかし同氏は、AT&TがNSAの監視プログラムにかかわったとされる疑惑の詳細な点については、何一つ認めなかった。監視プログラムの問題発覚から米連邦議会での論議に火がつき、また1月には電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation:EFF)による 集団訴訟 も始まった。

 法律家のなかからは、もしNSAプログラムが開始された当時の司法長官John Ashcroft氏が証明書を発行していたなら、AT&Tは責任を免れるだろうという見方も出ている(司法長官だけでなく、司法副長官や州検事総長なども 証明書を発行する権限 を有する)。

 「もしも証明書が存在するのなら、AT&Tはかなり有利だと言える」と、 電子プライバシー情報センター (EPIC)のエグゼクティブディレクターを務めるMarc Rotenberg氏は話す。同氏は「 Information Privacy Law 」という本の著者の1人だ。

 この訴訟でEFFは、AT&Tがプライバシー法を破り、米国内で行われる通信のNSAによる大規模な監視に協力したと主張している。EFFが訴えの過程で掘り起こした極秘書類--開示されておらず非公開--によると、AT&Tは政府に対し自社のネットワークへの完全なアクセスを許可し、膨大な数の電子メール、ウェブ閲覧のセッション、通話の傍受を可能にしたとされる。AT&Tの切り札とは?

 政府による証明書が存在するならば、AT&Tにとってはとっておきの切り札になる。 合衆国法律集第18編第2707条 によると、証明書を「善意」に基づいて信頼している場合は、いかなる民事、刑事訴訟においても完全に擁護される。

 17日に米連邦地方裁判所でVaughn Walker判事のもとで行われた審理では、Carl Nichols司法次官補代理も、そのような証明書の存在をほのめかした。Nichols司法次官補代理は「AT&Tが自らの弁護のために提出したいはずの事実」が未公表になっていると語った。

 しかし、続けてNichols司法次官補代理は、こうした証拠は「国家機密」である機密情報に関係しており、公開されると国家の安全保障が危険にさらされるだろうと述べた。国家安全保障を理由に米Bush政権が訴えの却下を求めていることに関する審理は、6月23日に予定されている。

 一方、AT&TはNSAによる監視計画への関与の規模について沈黙を守っている。最初、NSAによる監視計画は国際電話だけが対象だったと考えられていたが、現在は国内通話やその他の記録も含まれた可能性があると言われている。通話記録のデータベースをNSAに提供したと報じたUSA Today紙の記事に対して、Verizon CommunicationsとBellSouthは、 関与を否定した 。しかし、AT&Tはコメントを拒否している。

 AT&Tの広報担当者Marc Bien氏は17日、CNET News.comに対し「プログラムが存在するかどうかやそれをどうとらえるかなどとは切り離しての話だが、政府から国家安全保障のための協力を求められ、その要求が法律の範囲内であれば、AT&Tには受け入れる用意があるということは言える」と語った。

 この訴訟の次の争点は「国家機密」の概念がどこまで拡大できるかに集中しそうだ。AT&Tは、厳密にどのような情報が開示されてしまったかを語ることなく、証明書の文言を明らかにすることは可能なのか? 証明書が存在するかどうかさえも、秘密にしなければならないのだろうか?

 さらに問題を複雑にしているのが、合衆国法律集第18編第2511条にある公開の禁止だ。これによると、電話会社は法が求める場合を除いて「いかなる傍受または監視の存在も、傍受や監視に用いられた機器も明らかにしてはならない」。非合法的に公開した場合は 罰金の対象 になる。

 EFFは、証明書が存在するかどうかまでを機密扱いすべきではないと主張する。EFFの弁護士であるCindy Cohn氏は17日の審理で「この法律は(傍受や監視の)プロセス全体を規定しているものなのだから、証明書が存在したかしないかは国家機密ではない」と述べた。

 審理の後のインタビューでEFFの弁護士Lee Tien氏は「証明書が存在するのなら、公開すべきだ」と語っている。

 一方、かつてBush大統領の法律顧問を務め、現在AT&Tの弁護に立つBerenson氏は、AT&Tが法を犯しているという主張に対して反論した。EFFが「『犯罪傾向』『犯罪』といった言葉を選んで用いている」のは不適当だとBerenson氏は述べる。AT&Tは「米国の大企業の1つだ。そのようなレッテルを貼るのは無責任だとしか言いようがない」(Berenson氏)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

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[CNET Japan]
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(CNET Japan) - 5月18日22時21分更新

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