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2006年05月18日(木) 20時27分

誘致合戦県が好待遇 大規模コールセンター朝日新聞

 損害保険大手の日本興亜損保(本社・東京都千代田区)が秋田市の西部工業団地に建設したコールセンターが17日、開業した。ガラス張りのオペレーションルームには80人のスタッフが働いている。4年後にはフル稼働して千人の雇用を見込む。県は「雇用促進の起爆剤に」と期待するが、他県との熾烈(し・れつ)な誘致合戦を制するために、補助金や人材育成の無料講座など至れり尽くせりの待遇で同社を迎えた。(今野忍、峯俊一平)

 ●最大で総額10億円

 「助成金を含め、総合的に決めた」

 秋田進出の理由について、松沢建社長は17日の記者会見で話した。同社はコールセンターの誘致としては県内6社目。金融・保険業界では全国でも最大規模の鉄筋3階建て、延べ床面積は約6202平方メートル。総工費は約22億円。

 県は02年12月にコールセンターへの助成制度を始めた。建物の建設に20%を補助するほか、機械設備の賃借料の50%を3年間負担。さらに、通信回線使用料50%を5年間(年間限度額4千万円)、オペレーター1人の雇用につき毎年25万円を5年間補助金として支払う。制度上、総額10億円まで補助できる。

 「6、7県から話があったが秋田に決めた」と松沢社長。県誘致企業室の担当者は「他県との誘致競争が激しく、秋田に来てもらうのにこれくらいの補助金は必要」と話す。

 ●無料の学校

 受講生5人が苦情電話の内容を伝言する。メモを取ると、無い場合に比べて確度がぐんと上がった。「キーワードをメモすることが重要です」。講師が呼びかけると、受講生たちはうなずいた。

 秋田市新屋町の県立秋田技術専門校は、コールセンターへの求職者を対象に無料講座を開いている。計39日、234時間に及び、講師は民間の人材教育会社から招く。佐野芳一校長は「実践力をつけて早期就職に結びつけてほしい」。

 講座には12人が参加し、うち女性が11人。年齢層は20代から50代と幅広い。秋田市の女性(48)は「県内の雇用は厳しく、年が上がると余計に厳しい。その中でコールセンターは魅力的な就職先だと思う」と話す。

 昨年度は54人が講座を修了した。30人が就職、うち20人がコールセンター関連だという。同校は現在、第2期の受講生を募集している。県によると、無料講座の開設も誘致活動中に同社と約束したことだという。

 ●ストレス対策

 コールセンターの業務は、苦情対応などストレスも多いという。東京都内のコールセンターで働いていた女性(28)は1年余りで体調を崩して辞めた。「ひっきりなしに着信があり、しつこいクレームを受けたうえ、上司にも怒鳴られることがあった」

 コールセンター事業のコンサルティング会社「トリノ・リンクス」(東京都渋谷区)の赤松節子取締役は「コールセンターの離職率は1年間で7割以上のところもある。最近は1割以内に抑えている会社もあり、従業員の心のケアは重要な課題」と指摘する。日本興亜損保は、県内のコールセンターではオペレーター10人につき3人の指導・相談役を付けることで、ストレスを減らす環境を整えたい、としている。

http://mytown.asahi.com/akita/news.php?k_id=05000000605180003