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2006年05月15日(月) 01時38分

5月15日付・読売社説(1)読売新聞

 [団体訴訟制度]「消費者の被害防止に活用したい」

 悪徳商法などによる消費者被害の拡大を防ぐ“切り札”になるだろうか。

 国会で審議されている消費者契約法改正案に、被害を受けた消費者に代わって、消費者団体が業者に不当行為の差し止めを請求できる「消費者団体訴訟制度」(団体訴権)が盛り込まれている。

 「この機械を取り付ければ電話代が安くなる」と勧誘して、実際には効果のない機械を販売する。悪質なリフォーム業者が不必要な工事を強引に進める。

 こんな悪徳商法が横行している。

 団体訴権は、国から「適格」と認定された消費者団体が悪徳業者を訴え、不当な勧誘や契約ができないようにするものだ。被害が不特定多数に拡大する事態を防ぎ、消費者全体の利益を守ろうという日本では初めての制度である。

 2001年に施行された消費者契約法で、被害者が裁判に訴えて、不当契約を取り消せるようになった。

 だが、消費者一人ひとりの被害が少額なため、泣き寝入りするケースが少なくない。被害者本人は、裁判で救済されても、事情を知らない他の消費者が同じ手口で被害に遭うことも多かった。

 団体訴権を有効に活用できれば、悪徳商法による消費者の被害が広がる事態を防ぐことができる。早期に法案を成立させるべきだ。

 問題は、訴訟を提起できる「適格」な消費者団体をどう認定するかだ。

 政府は、団体の適格要件として、不特定多数の消費者の利益を擁護していることや、相当期間に継続的な活動実績があることなどを挙げている。

 すでに複数の消費者団体が設立され、認定を目指している。

 ただ、団体訴権は適切に行使し、成果を上げてほしい。手当たり次第に提訴する乱用はすべきでない。一つの団体が一度裁判を起こして敗訴が確定すると、その後、他の団体が提訴できなくなる。

 まして、特定企業の意を受けて、そのライバル社を狙い撃ち提訴するようなことなどは許されない。

 政府は厳正に適格団体を認定する必要がある。不適切なケースが起きれば、迅速に認定を取り消さねばならない。

 ドイツ、フランスでは、消費者団体が消費者に代わり、契約差し止めだけでなく、損害賠償も請求できる。日本でも同様の損害賠償請求権を認めるべきだと、民主党などが主張している。

 しかし、どのように賠償金を分配するかなど課題も多い。当面は、団体訴権の運用を定着させて、被害防止で成果を上げることを優先すべきだろう。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060514ig90.htm