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2006年05月13日(土) 14時32分

土屋議員を連日放映、抗議受け菅氏の番組も制作へ読売新聞

 東京都武蔵野、三鷹両市などが出資する第3セクター「武蔵野三鷹ケーブルテレビ」(本社・三鷹市)が4月、前武蔵野市長の土屋正忠衆院議員(自民)を取り上げる番組を連日放映した。

 これに対し、同じく武蔵野市を地盤とする衆院議員、菅直人・民主党代表代行側が「公平を損なう」と文書で抗議。非を認めた同局が、今度は菅氏を取り上げる番組を制作することになった。

 この事態に総務省は「政治的公平を求める放送法に抵触する恐れもある」として調査に乗り出す。問題の番組は、土屋氏の国会活動などを12分間で紹介する「市長から一年生代議士へ〜永田町を歩き始めた土屋正忠さん〜」。4月1〜23日に毎日2回ずつ計46回放映された。NPO法人「むさしのみたか市民テレビ局」(三鷹市)の制作で、スタッフの中には土屋市長時代の市職員もいた。

 これに対し、菅氏の事務所が4月27日、「他の議員についての放送が全くないことは、公平を損なう」とする質問状を武蔵野三鷹ケーブルテレビに送付。同テレビは「公平性を欠いた」と認め、「菅氏をメーンに同様の番組を作る」と申し出て、菅氏側も了承した。番組内容や放映時期などは今後、菅氏側と協議するとしている。

 同テレビの島野浩二・企画制作本部長は、「土屋氏を取り上げた番組は、政治を身近に感じてもらいたいという単純な思いから企画し、こちらから出演依頼した。試写段階から『問題がある』という声が局内で上がっていたが、きちんと検証しないまま放映してしまった。こちらに落ち度があり、菅氏には誠実に対応することにした」と話す。

 読売新聞の取材に、菅氏の事務所は「市民から多数の問い合わせがあり、放映理由を聞く必要があると判断した。(菅氏をメーンとする)番組制作の申し出は快諾した」とし、土屋氏は自身を取り上げた番組について「私は取材を受けただけだが、地元の国会議員の活動を紹介する内容であり、問題はないのではないか」と話している。

 昨年9月の衆院選で、菅氏と土屋氏は東京18区(武蔵野、府中、小金井市)で直接対決し、菅氏が勝利、土屋氏は比例で復活当選した。武蔵野三鷹ケーブルテレビは土屋氏が武蔵野市長時代の1996年7月に開局。武蔵野、三鷹両市とジャパンケーブルネット(東京都中央区)が出資し、約7万5000世帯が視聴できる。両市の出資額は各1000万円。

 「政治的に公平であること」との放送法の定めは、ケーブルテレビにも適用される。今回の問題について総務省地域放送課は「何日も同じ政治家の番組を放映することは、放送法に抵触する疑いがある。今後制作する番組の是非も含め、早急に調査を実施したい」としている。

 2004年3月には、山形テレビ(本社・山形市)が自民党山形県連の広報番組を放送。同省が文書で厳重注意している。

 音好宏・上智大文学部助教授(メディア論)は「ケーブルテレビは政治的に公平な放送サービスを提供する義務がある。連日、特定の衆院議員を紹介するのは行き過ぎだった」と指摘。

 放送倫理・番組向上機構委員でノンフィクション作家の吉岡忍さんは、「菅さんの番組を作ることを『落とし所』にする姿勢にも疑問を感じる。この地域には、ほかにも政治家が大勢おり、大物2人のバランスを取れば政治的中立性が保たれるというわけではない」と批判している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060513it05.htm