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2006年05月11日(木) 00時00分

阪神・阪急と村上ファンド、世論を意識しPR合戦朝日新聞

表

  

 村上世彰氏率いる投資ファンド(村上ファンド)による阪神電気鉄道株の大量保有問題で、阪神株の譲り受けによる経営統合を目指す阪急ホールディングス・阪神電鉄連合と、村上氏側との「舌戦」が激しさを増している。会見などでの肉声に加え、深夜にも及ぶホームページ上での応酬もしばしばだ。それぞれが正当性を強調することで世論の支持を得て、難航している株式売買交渉を有利に運ぼうとの思惑がありそうだ。

 「こんなふざけたことがありますか」

 村上ファンドが拠点をシンガポールに移すと発表した10日夜、阪神と阪急の関係者はこう口をそろえた。村上氏側は阪神株をさらに買い増して保有比率は47%近くに達し、阪神取締役会の過半数となる9人の取締役候補も、株主提案として提出済み。常識的には「村上氏側は阪神の経営に乗り出す」と見られるが、9人のうち8人は村上氏自身を含むファンド関係者だけに、「海外に移って経営できるのか」というわけだ。

 村上氏側との応酬が始まったのは今月2日。村上氏側からの株主提案が公表されたのを機に、沈黙を保ってきた阪神は会見を開き、「これでは(村上氏側の株式保有の目的は、公表している)純投資ではなく経営支配だ。こんなことが許されていいのか」(縄田和良専務)と力を込めた。

 これに対し、村上氏側はすかさずホームページ上で反論。その後は両者の応酬が続き、11日までに、ホームページ上だけで村上氏側が6回、阪神も5回、見解などを発表した。相手の発表を見てから対応することが多く、最後の発表はしばしば深夜に行われている。

 村上氏側は、9人の取締役候補は全員が社外取締役であることを強調し、「目的は経営支配ではなく経営監視」と主張する。阪急との統合計画について、統合比率や将来像を具体的に示すよう要求。阪神が一時京阪電気鉄道に支援を要請していたことも「暴露」し、阪神の取締役会議事録の閲覧・謄写の請求もちらつかせるなど揺さぶりをかけている。

 これに対し、阪神は「経営支配に他ならない」と一貫して反論。不動産事業の切り離しを求めてきた村上氏側に対し「鉄道と不動産、プロ野球を含むレジャーなど各部門の一体的な経営こそが企業価値を向上させる」と、経営思想の違いを訴えている。阪急の角和夫社長もマスコミ各社のインタビューで同様の主張を展開し、阪神との一枚岩ぶりを強調している。

 両者の攻防が激しさを増しているのは、阪急と阪神がそれぞれ06年3月期決算の発表を予定し、「交渉の当面の山場」とする17日が近づいているからだ。村上氏側との交渉は「価格につきる」(阪急・角社長)が、高値での売却を狙う村上氏側との溝は埋まっていないと見られるだけに、村上氏側に批判的な世論の高まりに期待したいとの思いがにじむ。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200605110046.html