悪のニュース記事

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2006年05月10日(水) 14時02分

5月10日付・よみうり寸評読売新聞

 〈校正畏(おそ)るべし〉——論語の〈後生畏るべし〉のもじり。誤字、脱字、数字のケタ違いなど1字の誤植がとんでもない結果を招くという戒めの言葉だ◆同時に校正は地味だが、いかに大切な仕事かを示す言葉でもある。明治のジャーナリスト・福地桜痴が残した言葉で日々、文を書き、校正の重みが身に染みた人らしい言だ◆この明治の戒めは今も、そして永久に不滅だろう。今年4月から中学校で使用されている9教科、134冊の教科書のうち65冊に計208か所もの記述ミスが文部科学省の緊急調査で見つかった◆誤記、脱字が多い。教科書会社51社中、校正・校閲の専任担当者がいるのはわずか4社。文科省は校正の強化を求めるというが、教科書検定でも見逃したのだからお粗末な話◆古来、校正ミスは絶えないが、17世紀、英国の聖書脱字事件を覚えておくといい。モーゼの十戒の一つ「汝(なんじ)、姦淫(かんいん)するなかれ」の「なかれ(not)」が脱字し「汝、姦淫せよ」になった。印刷者は罰せられ聖書は焼却された◆〈校正畏るべし〉を知らないことが恐ろしい。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060510ig05.htm