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2006年05月10日(水) 21時45分

日本人の指紋管理が焦点に 入管法改正案朝日新聞

 参院で審議が本格化している出入国管理法改正案が成立すれば、空港に出入国手続きを自動化する新ゲートが導入されることになる。指紋を事前登録したICカードをかざせば通れる仕組みで、出入国審査の行列を解消する効果がありそう。しかし、利用者の指紋は政府に管理され、犯罪捜査にも使われる。国外にまで「究極の個人情報」が流出する恐れを指摘する意見も出ている。

 入国する外国人に指紋などの提出を義務づける同法改正案は、早ければ来週にも成立する見通しとなっている。

 「自動化ゲート」は、駅の自動改札のような装置だ。利用できるのは日本に在留する外国人や日本人で、観光や商用で日本を訪れた外国人はこのゲートを通過できない。

 利用者は、指紋情報を登録したICカードをゲートでかざした後、人さし指の指紋を機械に読み取らせる。二つの指紋が一致すればゲートはすぐ開く。早ければ来秋にも実用化される。

 連休や夏休みのたび、成田空港には出入国審査を待つ長蛇の列ができた。しかしこのゲートなら「20秒前後で審査が終わる」と法務省はアピールする。

 あくまでも「サービスの一環」との位置づけで、利用の義務化について杉浦法相は「将来も考えていない」と衆院の審議で力説した。

 ただ法務省は、昨年つくった「第3次出入国管理基本計画」の中で、指紋登録の対象を「当面は」希望者だけ、と記している。その一方で法務省は、ゲートの利用率を上げるため、飛行機の搭乗手続きも同じカード1枚でできるようにする構想を、早くも航空会社などと協議している。

 こうして得た指紋を、国はどう利用するのか。少なくとも、犯罪捜査の照会があれば、指紋は警察に提供される。事前登録時には、警察の指名手配者リストと照合し、手配者の「高飛び」を防ぐのにも役立つ。

 提供先は、国内にとどまらない。出入国管理法に昨春、「法相は、入管業務の遂行に資する情報を外国に提供できる」という条文が加わったからだ。

 法務省は海外に指紋を提供する例として、人身売買のブローカー▽海外の捜査機関から要求のあった者▽海外での事故に巻き込まれて安否確認が必要な邦人などを挙げる。しかし、「任意で提供したはずの生体情報が世界中に流出する」という懸念は消えない。

 千葉大の多賀谷一照教授(情報通信法)は、法案の趣旨に理解を示しつつ、「犯罪の嫌疑がない一般市民の指紋情報が国内外の警察に出ていくことは制度の趣旨に反する」と指摘している。

http://www.asahi.com/national/update/0510/TKY200605100407.html