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2006年05月09日(火) 00時00分

ネットと放送 著作権と利便の両立を 東京新聞

 地上波デジタルを携帯で受信できるワンセグ放送で、通信と放送が融合する時代が始まった。だが、完全な融合には著作権法の見直しが必要だ。視聴者の立場も踏まえた関係者の合意を望む。

 ワンセグ放送が全国の主要地域で始まって、ほぼ一カ月。通勤電車などで移動中でも、番組が携帯で鮮明に見られるようになった。懸念された画質もまずまずの好評だ。

 ワンセグ携帯は、一台に放送と通信の両方の機能を合体させ、電話機を通じて番組のクイズやアンケートに答えたりもできる。

 次は電波で送られる放送を通信回線に乗せて家庭のインターネットでも見られるよう、放送と通信の融合をさらに進めよう。

 融合が進めば、家庭のデジタル対応テレビでショッピングがスムーズにできるなど利便が増す。

 加えて、番組をネットで流すもう一つの利点が急浮上している。二〇一一年には現在のアナログ式テレビ放送が地上波デジタルに完全移行するが、デジタル化で生じる電波の空白地域をどう埋めるのかが大きな課題だ。周波数の高い地上波デジタルの電波は直進性が強いので、山間地や都市のビル陰など電波の届きにくい地域が発生する悩みを伴う。

 この空白を埋めるには、デジタル用のテレビ塔を増設しなければならないが、ネットの通信回線で番組を流せば、空白解消の簡便な代替手段になるのだ。

 そんな代替手段としても有効なネットによる“放送”だが、実現の障害になっているのが、法律上の著作権の問題だ。放送は公益性に配慮して番組放送に必要な著作権者の許諾を簡略化する法的な優遇措置が取られている。

 だが、同じ番組をネットで流そうとすると法律上、通信の扱いとなり、作曲・作詞家だけでなく、歌手、俳優、演奏家などすべての権利者から許諾を取らねばならない。

 この障害を取り払うため、通信も著作権法上の扱いを放送と同じにしようという協議が関係者間で進んでいる。だが、レコード協会や実演家団体など著作権者側は「権利の縮小につながる」として法改正に難色を示している。

 法改正もしくは法の運用や解釈の見直しで融合を実現するにしても、著作権者の利益は尊重されねばならない。著作権団体が窓口になり、許諾手続きと著作権料の配分を集中管理するのも一つの方法ではないか。デジタル文化が、広く享受できるよう著作権と視聴者の利便を両立させる合意点を見いだしてほしい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20060509/col_____sha_____003.shtml