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2006年05月08日(月) 18時21分

44人死亡の火災 歌舞伎町の雑居ビル取り壊しへ朝日新聞

 01年9月の火災で44人が亡くなった東京・歌舞伎町の雑居ビル「明星56ビル」が解体される。8日朝、作業員らによってその準備作業も始まった。火災後、ビルの所有者らに損害賠償を求める訴訟を起こした犠牲者の遺族らに仮差し押さえされていたが、この春、和解が成立したのを機に、所有者が取り壊しを決めた。大惨事の現場は、あと2カ月ほどで姿を消す。遺族の一人は「あのビルを目にするのもつらいけど、なくなることで火災が忘れられていくのもつらい」と話す。

 ビルは地上4階地下2階。延べ床面積約500平方メートルの鉄骨造りで、85年に建てられた。火災後は02年3月に新宿区が建築基準法に基づく使用禁止命令を出した。所有者が売却しないよう、04年4月には遺族らが仮差し押さえを申請し、認められた。ビル前面を白いネットで覆っただけで、ほぼ当時のままの姿を「不夜城」の目抜き通りにさらしていた。

 損害賠償訴訟は今年3月、犠牲者のうち33人の遺族にビル所有者らが犠牲者1人あたり約2400万円を支払うことで和解が成立。これを受け、所有する「久留米興産」(東京都千代田区)が業者を通じ、新宿区に対する解体届け出を4月下旬に済ませた。7月ごろまでには地上部分を撤去するという。

 久留米興産の代理人は「遺族の大多数と和解し、一区切りと考えた。いずれ土地の売却も検討している」と話す。

 ビル4階の飲食店で働いていた当時26歳と22歳の娘2人を失った女性(55)は、今も毎月1日の月命日に花を供えに歌舞伎町へ通い続ける。「ビルを壊すなら、44人を供養する慰霊碑を建ててほしい」と切望する。

 次男(当時18)を亡くした三橋正近さん(55)は「解体して売り払って、所有者側がもうけるのだとすれば許せない」と話す。

http://www.asahi.com/national/update/0508/TKY200605080186.html