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2006年05月07日(日) 01時54分

5月7日付・読売社説(1)読売新聞

 [消費者金融]「過剰貸し付けにもメスを入れよ」

 貸出金利の上限が法律上、二つもある。これがトラブルの種になっていることを考えれば、一本化するのは当然だろう。

 金融庁の貸金業に関する懇談会が、貸金業規制法の見直しについて、中間整理をまとめた。

 利息制限法は、上限金利を融資額によって年15〜20%と定めている。一方、出資法は年29・2%を上限とし、それを上回る融資に刑事罰を科している。二つの上限の間がグレーゾーン(灰色)金利と呼ばれ、ほとんどの消費者金融業者がこの金利で融資している。

 懇談会は、灰色金利を撤廃し、上限金利を利息制限法に向けて一本化すべきだと提言している。

 灰色金利での融資は、貸金業規制法によって、利用者が自らの意思で利息を返済することなど、一定の条件を満たす場合に限定している。

 ところが、利用者がこの規定を十分に理解しないまま融資を受けるケースが多く、支払った利息の返還を求めて業者を訴える紛争が急増していた。最高裁は、灰色金利を適用できる条件を厳格に審査し、利息制限法を超える利息の返済を無効とする判断を相次いで示している。

 懇談会は司法の判断を重く受け止め、灰色金利の解消を打ち出した。

 これに対し、消費者金融業界は「灰色金利を撤廃し、上限金利を引き下げれば収益が大幅に低下し、廃業する業者が続出しかねない」と反対している。

 だが、大手の業者は、金融機関などから平均年2%以下の低い金利で資金を調達し、どこも高い収益を上げている。業界の主張はいかにも説得力に欠ける。

 業界は「上限金利の引き下げによって審査が厳しくなり、多くの利用者がヤミ金融に流れる」とも訴えている。

 ヤミ金融の横行を考えれば、灰色金利の解消・存続にかかわらず、ヤミ金融問題に対する抜本的な対応策を合わせて打ち出すのは喫緊の課題だろう。

 ヤミ金融の利用者の大半が、複数の消費者金融業者から返済能力を超えて借り入れている多重債務者だ。その数は200万人とも言われている。多重債務者を生み出す業者の過剰な貸し付けにも、防止策を講じなければならない。

 懇談会は貸金業規制法には過剰貸し付け禁止の規定があるものの、罰則がないと指摘している。罰則を法律に明記し、抑止効果を高めるべきだ。

 1人当たりの融資額の総量に上限を設けるべきかどうかなど、結論が先送りされた課題も少なくない。6月の最終報告に向け、消費者金融が抱える問題全般にわたってメスを入れてほしい。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060506ig90.htm