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2006年05月07日(日) 00時00分

温和な夫なぜ 妻が証言へ/松本ネット殺人朝日新聞

 「松本ネット殺人」で、殺人罪などに問われている茨城県土浦市烏山4丁目、片山直哉被告(36)の初公判が11日、長野地裁で開かれる。ネット上で殺害依頼を受け、実行したとされる片山被告。県警などの調べに、「人助けのつもりだった」と殺害を認めている。「温和な夫」だったという片山被告を凶行に駆り立てたものは何だったのか。(岩尾真宏 長谷川美怜)

 JR常磐線土浦駅から車で約15分の市営住宅の一角。片山被告は昨年4月、結婚し、妻(40)とその子どもと暮らし始めた。

 2人が知り合ったきっかけは携帯電話のサイト。式は挙げず、指輪は妻が用意した。「本当に理想的な夫。自分の部屋の掃除は自分でやるし、洗濯物も自分で洗うし」。妻の目に映る片山被告は、殺人事件とはおよそ結びつかない穏やかな夫だった。「温和で、明るくて思いやりのある人。凶暴な面なんて見たことがない」。スナック菓子を食べる際につまようじを刺して使うなど神経質な一面があったほか、女性アイドルのテレホンカードを収集する趣味を「変わっている」と思ったくらいだったと振り返る。

 事件当時、片山被告は派遣社員として医療用機器関係の会社で勤務。朝、出勤し、午後5〜6時には帰宅する生活。会社の付き合い以外では酒を飲むこともなかったという。きちょうめんな性格で、家の金の管理も片山被告が行っていた。

 その一方で、片山被告はネットの世界に没頭していた。

 ネットでの競馬のほか、オークションも頻繁に利用。子供用の下着やスキー用具などを購入していた。妻によると、片山被告は2台のパソコンを使用。休日は一日中、自室にこもり、ネットを楽しんでいたという。野本富貴被告からの殺害依頼もメールで受け、頻繁にやりとりして計画を練り上げた。

 事件当日の昨年12月30日、片山被告は妻に「埼玉にいる友人に会ってくる」と言い、家を出た。県警などの調べでは、片山被告は前日の29日に土浦市内のホームセンターで鉄製ハンマーを購入し、30日午後1時ごろ、野本力さんの頭部などをハンマーで殴り殺害したとされる。事件後は松本城を見学したり、銭湯に行くなどしていた。

 「(事件当日の夜)自宅に戻ってきた夫は、いつもと変わった様子はなかった」と妻は話す。

 年が明けて1月3日。片山被告は「墓参りに行こう」と言い出し、妻の両親の墓に向かった。墓参りにはよく行ったが、この時、片山被告は長い間手を合わせ、じっと拝んでいたという。翌4日、片山被告は同様にネットで依頼を受けた別の男性殺害の下見のため、東京に向かったとされる。

 逮捕後、片山被告は「ごめんなさい」などと書いた便箋(びん・せん)2枚の手紙1通を妻に書いた。

 片山被告の弁護人は「普通の人以上にきちんんとしている。どうして殺人を人助けと思ったのか。動機の究明を行いたい」と述べた。

 妻は証人として公判に出廷するという。「どうしてあんなことをしたのか」。妻はそう尋ねたいと話す。

http://mytown.asahi.com/nagano/news.php?k_id=21000000605070001