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2006年05月01日(月) 15時44分

公園拡張「住民は立ち退け」 「官舎温存」判決見直しへ朝日新聞

 都立公園の拡張事業を巡り、官舎用の国有地があるのに民有地を事業地に組み入れたのは違法として、立ち退きを求められた周辺住民ら3人が国側に事業認可の取り消しを求めた訴訟で、最高裁第二小法廷(滝井繁男裁判長)は、双方の意見を聴く弁論を開くことを決めた。7月に開く方向で日程調整を始めた。住民を逆転敗訴させた二審・東京高裁判決が見直される見通しとなった。

 公的事業に際して「公有財産で目的を達成できないときに初めて、一般市民に経済的負担を課せる」という考え方の是非が正面から争われた初の訴訟で、最高裁の判断が注目されていた。また、事業認可を取り消す方向の結論が最高裁で出れば画期的で、行政訴訟に与える影響は大きそうだ。

 問題になっているのは、東京都品川区と目黒区にまたがる「都立林試の森公園」について建設相が57年に決め、87年に都知事が変更した都市計画決定。林業試験場跡地を公園化する際、隣接している官舎の敷地のほとんどを対象区域から外す一方、隣の民有地を対象区域に含める線引きをした。

 その後、都は災害時の避難通路などを確保する目的で公園拡張事業を計画。官舎敷地は含めず、周辺住民の所有する計約1500平方メートルを含めた。事業は96年、建設相に認可されたため、民有地が収用される恐れが高まり、住民側は97年、「住民の財産権より公務員の利益を優先した官尊民卑の価値観によるものだ」と提訴した。

 一審・東京地裁は「可能な限り公有地を利用すべきなのに、そうしなかった都市計画は違法」と判断。事業認可を「裁量権の乱用がある」として取り消した。しかし、二審・東京高裁は「まず公有地の利用を検討すべきだという規定は法律にはない」「官舎用地を組み込むと樹木の伐採が必要になり、奇木を含む貴重な樹木をできる限り保全するという見地からは望ましくない」と述べ、住民側の請求を棄却した。

 原告の会社員豊国圭介さん(44)は「なぜ官舎を温存し、樹木のために住み慣れた家を立ち退かなければならないのか」という思いで訴訟を続けてきた。最高裁まで争う間に、原告のうち2人が亡くなった。「最高裁の結論が出るまでは安心できない」と話す。「二審判決はあまりに薄っぺらで中身がなかった。最高裁にはしっかり踏み込んだ判断を期待したい」

http://www.asahi.com/national/update/0429/TKY200604280384.html