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2006年04月27日(木) 00時00分

耐震偽装逮捕 核心に迫る徹底捜査を 東京新聞

 姉歯秀次元建築士らが一斉に逮捕された耐震強度の偽装事件は、業界に巣くう“構造問題”をのぞかせている。どうして、でたらめがまかり通ってしまうのか、真相をえぐり出す捜査が望まれよう。

 耐震強度の構造計算書という、パンドラの箱を開けたら、次から次へと出てくる、出てくる…。

 建設業法違反、建築基準法違反、建築士法違反、宅地建物取引業法違反、電磁的公正証書原本不実記録…、事件発覚からさまざまな疑惑が、これまで噴出してきた。

 今回逮捕されたのが、施工業者や民間確認検査機関、元建築士らだから、マンションなどを一棟建てるのにかかわった業者が、軒並み摘発されたことになる。設計から竣工(しゅんこう)までの間、どの段階でも「違反」が付くありさまは、まさに業界の“構造問題”といえるのではないか。

 開けてはいけない箱を開けた瞬間に、さまざまな厄災が飛び出したというギリシャ神話を持ち出すのは大げさにしても、被害住民にとっては生命・財産に直結する大問題だ。

 震度5強で倒壊の恐れがあるという構造計算書が、いとも容易につくられ、検査機関のチェックを簡単にすり抜けること自体が驚きだ。コスト重視で、安全が後回しにされたことは到底、許されない。しかも、利益至上主義を「経済設計」と呼ぶに至っては、あぜんとするばかりだ。

 もっとも構造計算書の耐震偽装そのものにメスがふるわれたわけではない。姉歯元建築士は無資格の建築デザイナーに名義を貸した建築士法違反の容疑である。いわば“別件”であるのは、法定刑の問題だろう。偽装設計が問われる建築基準法が罰金刑にとどまるのに対し、建築士法は懲役刑も科せられる。

 今後は耐震強度が不足したマンションを販売したヒューザーや、ビジネスホテル開業の指導をした総合経営研究所が、事件にかかわっていたかどうかが注目されよう。偽装に至った真相は何か、責任の所在がどこにあるのか。捜査当局は詐欺容疑を視野に入れているとされるが、核心に迫る捜査が求められる。

 規制緩和で偽装の“土壌”をつくった国土交通省、検査業務を受け持つ自治体など「官」にも責任を感じてもらいたい。業界全体も問題を重く受け止めるべきだ。

 日本人はものづくりが得意といわれてきた。しかし、建設業に関しては、とかく手抜き工事などが問題視されてきた。いわゆる姉歯物件以外にも、各地で偽装問題が明るみに出ている。「住」への信頼を取り戻す業界自身の体質改善を求めたい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20060427/col_____sha_____002.shtml