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2006年04月26日(水) 00時00分

姉歯元建築士を逮捕 粉飾容疑など計8人 東京・築地署に入る姉歯秀次容疑者(中央)=26日午前8時44分 東京新聞

 耐震強度偽装事件で、警視庁と千葉、神奈川県警の合同捜査本部は二十六日、建築士法違反の疑いで元一級建築士の姉歯秀次容疑者(48)ら二人を、建設業法違反の疑いで木村建設(熊本県八代市、破産)の社長木村盛好容疑者(74)と、元東京支店長篠塚明容疑者(45)ら同社幹部四人を、電磁的公正証書原本不実記録などの疑いで確認検査機関イーホームズ(東京都新宿区)社長の藤田東吾容疑者(44)ら二人の計八人を逮捕。イーホームズなど関係先を家宅捜索した。 

 国民の「住」への信頼を揺るがした偽装事件の強制捜査着手から四カ月。事件は大きく動きだした。捜査本部は今後、マンション購入者やホテルオーナーを被害者とした詐欺事件の立件を視野に、捜査を進める。

 調べでは、姉歯容疑者は二〇〇四年三月から翌年四月にかけ、千葉県船橋市のマンションなど二棟の工事で、実際は設計の元請け業務をしていないのに、一級建築士の資格がない知人の建築デザイナー秋葉三喜雄容疑者(46)に名義を貸し、この物件の設計や工事監理をさせた疑い。

 木村、篠塚両容疑者ら四人は〇四年九月、債務超過を隠すため同年六月期の決算を粉飾し、国土交通省九州地方整備局長に、虚偽の貸借対照表などを提出し、建設業許可を更新した疑い。

 一方、藤田容疑者らは、イーホームズが確認検査機関の指定を受ける二カ月前の〇一年十月、検査対象を拡大するため、約二千七百万円を増資したように装い、資本金を約五千万円に変更し不正に登記した疑い。

 調べに、姉歯、秋葉両容疑者は大筋で容疑を認めているという。

 これまでの調べに、姉歯容疑者は構造計算書を偽造した動機について「篠塚容疑者から鉄筋量を減らすように圧力を受けた」と供述しており、捜査本部は木村建設幹部らが偽装に関与していなかったか追及する。さらに同社については、コンサルタント会社総合経営研究所(千代田区)とともに、強度不足が確認された奈良市の「サンホテル奈良」の建設に絡み、工事代金などを受け取った詐欺の疑いでも調べる。

 また、マンション販売のヒューザー(大田区、破産手続き中)の小嶋進社長(52)らについても神奈川県藤沢市のマンション「グランドステージ藤沢」の偽装を知りながら販売した詐欺と宅地建物取引業法違反容疑での立件を視野に捜査する。

■耐震偽装事件

 一九九〇年、千葉県市川市で一級建築士事務所を開いた姉歯秀次容疑者は九八年以降、木村建設から多くの構造計算を依頼された。昨年十二月、国会の証人喚問で姉歯容疑者は、同社の東京支店長だった篠塚明容疑者から「予算が合わないから鉄筋量を減らしてくれ」と頼まれて耐震強度を偽装した、と説明した。

 構造計算書は、地震や重力などに建物が耐えられるよう、必要な鉄筋の本数や柱の太さなどを計算して作成される。建築基準法では、震度5強の地震で建物が損傷しない程度の耐震性を最低基準としている。

 しかし、姉歯容疑者は正規の地震力を半分程度で計算し、鉄筋数が少なくて済むよう改ざん。正規の計算書の途中に、偽造の計算書を挟み込むなどの偽造を重ねた。国土交通省はこれまで九十八件の耐震偽装を確認した。

 建築確認の際、藤田東吾容疑者が社長を務める「イーホームズ」(新宿区)など、指定確認検査機関や自治体はこういった偽造を見抜けなかった。

 木村建設が施工したホテルの設計は、同社子会社の平成設計が担当した。木村建設社長の木村盛好容疑者は、国会の証人喚問で「(平成設計の)仕事は全部、(コンサルタントの)総合経営研究所の指示で動いていた」と総研との密着ぶりを語っていた。

 <メモ>建築士法

 建築士の免許や業務について定めた法律。建築士資格を1級建築士、2級建築士、木造建築士に分け、それぞれ設計などを行える建築物の条件を規定している。延べ面積が1000平方メートルなど一定規模を超える建築物は1級建築士しか設計できない。違反した場合は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金。違法行為があると建築士法に基づき処分もでき、国土交通省は昨年度、姉歯秀次容疑者を含む1級建築士28人を免許取り消しなどの処分にした。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060426/eve_____sya_____000.shtml