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2006年04月20日(木) 00時00分

消費者保護 法的な手立ては必要だ 東京新聞

 「消費者団体訴訟制度」は、業者の悪質な勧誘や不当な契約から消費者を守る新しい仕組みだ。二十一日から国会で関連法案の実質審議が始まる。より有効な制度となるよう議論を深めたい。

 例えば、悪徳商法の被害が広がっていたとしよう。これまで消費者団体は悪徳業者に対して、改善申し入れや抗議行動などを繰り広げることはできても、不当な商行為を差し止める裁判は起こせなかった。

 消費者団体自体は業者との間に法的な利害関係がないため、「原告」になることができなかったからだ。だから、法的には被害に遭った個人がそれぞれ損害賠償を求めて、業者に立ち向かうしかなかった。

 「消費者団体訴訟制度」は、そんな団体の限界を乗り越えようと、消費者契約法の改正法案に盛り込まれた新しい仕組みだ。

 首相が認定する「適格消費者団体」は事業者に対し、悪質な勧誘行為や不当な契約条項の差し止めを求めて、提訴できるという内容だ。

 事前交渉でも差し止めを求めることができるし、訴訟で勝訴すれば、被害の未然防止や被害拡大を食い止める効果がある。消費者にとっては大きな武器となるだろう。

 金融商品や建物の賃貸借契約のトラブルなど、消費者をめぐるさまざまな被害は後を絶たない。それだけに、この制度の持つ意味は大きい。業者の不当行為をまさに「根本から断つ」ことが期待できるからだ。

 もっとも、法案の問題点も浮かんでいる。例えば、ある事件でいったん判決が確定してしまうと、別の消費者団体は、同一内容では訴えることができない定めとなっている点だ。つまり全国的な広がりのある事件で、一つの地域で判決の確定や和解があると、それ以外の地域にある団体は訴訟を提起できない。

 また、いったん消費者団体側の敗訴が確定してしまうと、その後、業者の不正を裏付ける新証拠が見つかった場合でも、再び訴えを起こせない。そんな不都合を抱えている。

 内閣府では「矛盾する判決が併存する懸念がある」「紛争の蒸し返しで違法か否か不安定な状態が長引く」と説明しているが、大いに議論が必要な点だろう。

 差し止め請求権だけにとどまらず、さらに一歩進めて、団体による損害賠償の請求制度を設ける課題もある。日本弁護士連合会もそれらの点について是正を求めている。

 電話勧誘や通信販売、ネット売買…。トラブルに満ちた世の中だ。消費者が悪徳業者の餌食とならぬような法的手立ては必要なはずだ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20060420/col_____sha_____003.shtml