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2006年04月18日(火) 02時42分

貸金業者の規制強化 「灰色金利」撤廃へ 金融庁懇、きょうにも中間整理産経新聞

過剰貸し付けに行政処分も
 金融庁の有識者懇談会「貸金業制度等に関する懇談会」は十八日にも、消費者金融など貸金業者の規制強化に向けた議論の中間整理をまとめる。出資法では合法だが、利息制限法では違法にあたるとして社会問題化している「グレーゾーン(灰色)金利」について撤廃の方向を打ち出すほか、過剰貸し付けへの行政処分の導入や契約時の説明義務の強化などを盛り込む見通し。消費者金融大手のアイフルが違法な取り立てなどで全店業務停止を命じられたこともあり、貸金業者の規制強化の動きが加速しそうだ。(本田誠) 
 「法令順守体制の一層の整備に努めることが求められる」。金融庁の五味広文長官は十七日の記者会見で、アイフルに対する行政処分にふれ、業界全体に信頼回復に取り組むよう促した。
 懇談会が消費者金融や信販、カード会社など貸金業者の規制に関する議論を開始したのは昨年三月。ヤミ金融対策を目的に平成十六年一月に施行された改正貸金業規制法の付則で制度のあり方や出資法の上限金利について、三年後をめどに必要な見直しを行うと規定されているためだ。
≪多重債務者増≫
 これまでの議論で最大の焦点となっているのが利息制限法の上限金利(年15−20%)と出資法の上限金利(年29・2%)の間の金利にあたる灰色金利の扱いだ。上限金利を超える融資について出資法が刑事罰を科しているのに対して、利息制限法は原則、無効としつつも罰則規定を設けていない。このため、消費者金融の多くが灰色金利で融資しており、多重債務を抱える利用者が急増した一因になっているとの指摘もある。
 灰色金利での融資は、貸金業規制法で利用者の同意など一定の条件を満たす場合に限って認められている。しかし、こうした条件を満たしたケースは少ないとされる。
 最高裁が今年一月、灰色金利での融資について「事実上、強制されて支払った場合、特段の事情がない限り無効」との判断を示すなど、利息制限法の上限を超える金利の支払いを制限する判例が相次いでいる。利用者が払いすぎた利息の返還を求めて訴訟を起こすケースも増えている。
≪秋にも改正案≫
 こうした見直し機運の高まりもあり、懇談会では灰色金利の撤廃で意見はほぼ一致した。しかし、撤廃後の上限金利の水準をめぐり、懇談会の意見は割れている。利用者側が金利を引き下げて利息制限法の水準に一致させるよう主張。これに対し業者側は「金利を下げすぎると貸し出し審査を厳しくせざるを得ず、消費者金融で借りられなくなる人がヤミ金融に流れる可能性がある」と出資法の水準で一本化することを求めている。
 ただ、今回のアイフルの行政処分をきっかけに、消費者金融大手が強引な取り立てなど違法行為を放置している実態が浮き彫りとなっており、業者側の主張に説得力が失われる結果となっている。このため、中間整理では金利引き下げが多数意見を占めていることを明記する見通しだ。
 このほか、中間整理には過剰貸し付けへの行政処分導入や説明義務の充実、広告規制と業者の参入規制の強化が盛り込まれる方向。懇談会は六月にも提言をまとめ、これを受けて自民党が秋の臨時国会への貸金業規制法改正案提出を目指す段取りとなっている。
     ◇
 ■カード・信販会社にも影響
 消費者金融が上限金利の引き下げに反発するのは、資金を低金利で調達して高金利で貸し出すビジネスモデル自体が揺らぎかねないからだ。
 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズの試算によると、上限金利が25%まで引き下げられた場合、大手四社の営業利益減少率は多くても20%程度で済む。だが上限金利が20%になると、減少率が70%近くに及ぶケースも出るという。
 さらに日銀の量的緩和策解除後、市場金利の上昇が続いているため、消費者金融にとっては調達コストの上昇というマイナス材料も浮かびつつある。融資の際の上限金利引き下げと合わせれば、利ざや収入がより一層圧縮されることは間違いなく、収益性が高いという強みは崩れつつある。
 また、消費者金融同様にグレーゾーン金利でのキャッシングサービスを行っているクレジットカード・信販会社にも影響が考えられる。これらの業界も有識者懇談会の議論の行方を慎重に見守っているのが現状だ。
(産経新聞) - 4月18日2時42分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060418-00000013-san-bus_all