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2006年04月16日(日) 03時08分

<ウィニー>学校現場の私物パソコン、教委把握は3分の1毎日新聞

 ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を介して重要情報がインターネット上に流出している問題で、毎日新聞は学校でのパソコンの管理実態について、47都道府県と15政令市の教育委員会に聞き取り調査を実施した。公務に使っている私物パソコンの台数を一部でも把握しているのは、「ゼロ」との回答を含め、3分の1の21教委にとどまった。管理が行き届きにくい私物パソコンは情報流出の危険性が高いとされ、教育現場での対応の遅れが浮き彫りになった。また、学業成績などの情報流出は全国で17件発生していることが分かった。
 公務使用の私物パソコン台数について、47都道府県と14政令市(堺市を除く)を対象にした今年3月の毎日新聞の調査では、「不明」は8自治体だけだった。
 台数を把握している21教委のうち17教委が私物パソコンの使用を確認。不明の41教委の中でも教職員アンケートの結果として「教諭の8割が使用」(札幌市)、「中学校で58%」(兵庫県)——などの回答があった。北九州市では、市全体としては私物パソコンの公務使用を禁じているが、市教委は「教師全員に公用が行き渡っておらず、禁止できない」と実情を訴えた。
 また、ファイル交換ソフトのインストール状況についても調査実施は16教委だけ。このうち4教委で、公用パソコン40台を含む計79台にインストールされていた。未調査の教委には「禁止を徹底している。今後も実施しない」(福島県)とする声もあるが、埼玉や和歌山、愛媛、熊本など8県教委が近く調査結果をまとめる。
 一方、情報流出の防止策として、多くの教委が▽業務用パソコンへのファイル交換ソフトのインストール禁止▽個人情報の校外持ち出し原則禁止——などを定めているが、▽持ち出し基準を明確化し、自宅での情報処理目的は認めず会議などに限る(岡山県)▽各学校に任せていた私物パソコンの運用をマニュアル化する(山口県)——など、新たな対応を検討している教委もある。
 教諭らのパソコンを通じた個人情報の流出は、情報を記録媒体に入れて自宅に持ち帰り、ウィニーをインストールした私物パソコンを通じて流出したケースが大半。これまでに17件で計約5800人分の児童・生徒らの個人情報が流出している。
 文部科学省初等中等教育局は「教員が自宅でも仕事せざるを得ない状況もあり、私物パソコンを完全に否定できない現実がある。そうした学校現場の特殊性を踏まえ、安全性をどう確保するか検討する。各教委の危機意識を高めるよう、文科省としても早急に働きかけたい」としている。【サイバーテロ取材班】
 ▽インターネットに詳しい園田寿・甲南大法科大学院教授(刑法、情報法)の話 学校職場は過重負担で仕方ない面もあるが、個人情報の流出を避けるため学校職場で私物パソコンを使ってはいけない。公務に私物パソコンを使っているかどうかを調べていない教委が3分の2というのは多いのではないか。教育現場に限らず、すべての組織でパソコンのセキュリティー対策に対する意識を高める必要がある。個人の責任にせず、国策としてウイルス対策を進めてソフトを無償配布したりする時に来ているのではないか。
(毎日新聞) - 4月16日3時8分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060416-00000003-mai-soci