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2006年04月15日(土) 00時00分

取り立てが『猛犬』では アイフル処分 東京新聞

 消費者金融大手のアイフルが違法取り立てなどで金融庁から業務停止処分を受けた。同社が経営体質を改めるのは当然だが、金融庁も問題の背景にある金利規制のあり方を見直す必要がある。

 かわいらしい小犬とおじさんが登場する同社のテレビコマーシャルは、視聴者にどこかホッとさせる印象を強く残す。ところが、その裏側でアイフルは厳しい取り立てや不正な貸し付けを重ねていた。

 同社諫早店は顧客の委任を受けていないのに、勝手に委任状を作って、役所から所得証明や戸籍謄本などの公的証明書類を取得していた。九州にある別の店は債務者の勤務先に何度も電話をかけて、借金の返済を迫っていた。

 関係のない第三者から資金を調達して借金を返済するよう迫ったり、返済交渉に顧客の妻や母親の同席を求めた事例もある。これらの行為は貸金業規制法違反に当たる。

 金融庁の処分は違反を犯した店だけでなく、国内約千九百の全店を対象に、三日から最高二十五日の業務停止を命じる異例の厳しい措置になった。経営陣は社長を含め取締役の減給処分を発表したが、当然、それだけではすまない。

 個々の店の不祥事ではなく、社内規定の不備や取り立てに対する指導の不徹底など、会社全体の管理体制に問題があったのは明らかだ。社外の意見も取り入れながら、経営全般を抜本的に見直す必要がある。

 業者の違法行為だけでなく、消費者金融は、そもそも法の金利規制体系があいまいに放置されてきた問題を無視できない。利息制限法で定めた上限金利の15−20%と出資法の上限金利である29・2%の間が「グレーゾーン」とされ、多くの業者はこの範囲の金利で貸し付けている。

 出資法の上限金利を超えた貸し付けは処罰の対象になる。グレーゾーンなら罰せられないが、最高裁が適法とする条件を厳しく判断したのをきっかけに、払いすぎた利息の返還を求める訴訟が相次いでいる。借り手が勝訴するケースも多い。

 金融庁は有識者懇談会を設けて、グレーゾーンをなくし、上限金利を一本化する案を検討している。業者側は上限金利の一本化や引き下げに反対しているが、自殺したり自己破産する消費者が増えている実態は重い。消費者保護を最優先にして、あいまいな金利規制を抜本的に見直すべきだ。

 業者が宣伝する「借りやすさ」は貸す側に大きなリスクがあるので、結局「高金利」と隣り合わせになる。消費者側も高い金利で返済可能か、もう一度よく考えたい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20060415/col_____sha_____002.shtml