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2006年04月13日(木) 00時00分

実現近づく消費者団体訴訟 東京新聞

 消費者団体が悪質な事業者などに対し、消費者に代わって訴訟を起こすことができる「団体訴訟制度」の実現が近づいてきた。政府が先月、同制度を盛り込んだ消費者契約法の一部改正案を国会に提出。今月になって民主党も対案を提出。今後、法案の修正などについて国会で審議されるが、成立は確実な見通しだ。この制度ができると、消費者にどんな利益があるのか。 (白井 康彦)

 昨年、社会問題になった「リフォーム詐欺」では、多くの高齢者が訪問販売の業者にだまされ、高額なリフォーム工事契約をした。これまでの訴訟制度では、損害を取り戻すには、被害者が業者を提訴するしかなく、多くの人が泣き寝入りする間に、被害が拡大した。

 今回の政府案では、国が“監視役”の消費者団体をあらかじめ認定し、その団体が、事業者の不当な契約条項や悪質な勧誘行為の差し止めを求める訴訟を起こすことを認めた。損害賠償の請求は被害者しかできないが、業者の行為を差し止めることで被害を未然に防ぐ考え方だ。

 英会話学校の高額な解約料などについても、個々の消費者がトラブルを解決するのは大変だが、団体訴訟が認められると効果は大きいと期待されている。

 提訴する裁判所については、事業者の本店がある地域の裁判所に限定されるのではないか、という懸念が消費者団体に広がっていたが、営業所がある地域の裁判所に提訴することも認められた。法案が今国会で成立すれば、来年中には施行される見通しだ。

 消費者団体側は基本的に歓迎の姿勢だが、政府案について是正も求めている。最大のポイントは「消費者団体が事業者を相手に訴訟を起こして判決が確定した場合は、原則として他の消費者団体は同一内容の提訴をできない」という点だ。

 一つの団体が一度裁判を起こして負けてしまったら、その後、他の団体が有利な証拠をつかんでも提訴できなくなる。「一つの裁判結果だけで再挑戦の道が断たれるのは納得できない」と、消費者団体側の弁護士らは口をそろえる。

 これに対して政府側は「認定を受けた団体はそれなりの責任を持って提訴すべきだ」という考え方だ。

 また六日に提出された民主党案では、消費者団体に損害賠償を求める提訴も認めている。消費者団体にとって、より有利な制度と言える。

 ただ、消費者団体側は今国会では、制度を実現させることを優先して、損害賠償の請求権までは求めていないため「損害賠償請求権」の議論は、将来の法案見直し時まで持ち越されそうだ。

 ◆認定の要件 団体訴訟を起こせる団体は、法人格を持ち、消費者全体の利益を守る活動を継続してきたこと、特定業者や業界から不当な影響を受けない役員構成であることなどが認定の要件となる。団体訴訟のほか、被害情報の収集・分析、不当契約、不当広告をしている事業者への警告、消費者への啓発活動などを行う。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20060413/ftu_____kur_____001.shtml