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2006年04月12日(水) 14時36分

自費出版「碧天舎」が倒産、250人「お金返して」読売新聞

 自費出版大手「碧天舎(へきてんしゃ)」(東京都千代田区)が経営の行き詰まりから倒産し、申し込んでいた執筆者約250人の本が出版できなくなった。執筆者が同社に支払った百数十万〜数十万円の出版費用も戻ってこない恐れがあり、出版を心待ちにしていた人からは、「だまされた」と怒りの声が上がっている。

 同社は1979年設立。「出版指標年報」によると、2004年には全国の出版社の中で20番目に多い401作品の新刊を出版し、自費出版業界で大手の一角を占めていた。

 しかし、他社との競争激化や受注単価の下落で経営が急速に悪化。関係会社や金融機関からの借り入れが膨らみ、3月31日、東京地裁に自己破産を申し出て、破産が決定した。負債総額は同月末現在で約8億6000万円に上る。

 関係者によると、同社が今月6日に都内で開いた債権者への説明会で、同社に出版費用を払い込んだものの、出版されない執筆者は250人に達することが報告された。費用は1作品あたり多くて百数十万円。同社の社長は、「私財の中から相当額を投じて資金調達の努力をしたが、経営再建を達成できず、誠に申し訳ない」と謝罪したという。

 同社に目ぼしい資産はなく、破産管財人の弁護士は「従業員に対する給料の支払いなどが優先され、執筆者への返金は難しい」と話す。

 一方、執筆者たちの怒りは収まらない。神奈川県内の女性(46)は今年2月、同社から30万円の割引を持ちかけられ、120万円で乳がんの闘病記を出版する契約を取り交わした。うち約40万円を支払っている。女性は「経営が苦しいから、必死でお金を集めていたのではないか」と不信を募らせる。

 横須賀市の男性(74)は、太平洋戦争中にフィリピンで従軍した日本人兵士の証言を7年にわたり集め、実話を題材にした小説を今月20日に出版するはずだった。その直前の倒産に、「貴重な証言が形にならず、取材相手を裏切ることになった」と憤まんやる方ない。支払った約130万円も戻ってきていない。

 近年、自費出版の作品数が増え、中にはベストセラーとなってテレビドラマ化されるなど話題作も出ている。団塊世代の大量退職を控え、出版界ではブームに拍車がかかることを期待する向きもあったが、別の自費出版社の幹部は「自費出版に慎重になる人も多いのでは」と不安を口にしている。
(読売新聞) - 4月12日14時36分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060412-00000506-yom-soci