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2006年04月11日(火) 00時00分

『納得できない』 不起訴男性の痴漢民事で認定 東京新聞

 「到底、納得できない」。電車内で女性に痴漢行為をしたとして都迷惑防止条例違反の現行犯で逮捕され、その後不起訴となった元会社員沖田光男さん(63)=国立市=が、女性の虚偽の被害申告で不法に逮捕・拘置されたとして、国と都、女性に約千百万円の損害賠償を求めた訴訟。痴漢行為を認定し、請求をいずれも棄却した十日の地裁八王子支部判決に、沖田さんは悔しさをにじませた。 (杉本慶一、服部展和)

 沖田さんは判決後、弁護団とともに八王子市内で記者会見し、判決について「大変憤りを持っている」と語った。「本当のことをありのままに裁判官に見てもらいたい。痴漢冤罪(えんざい)事件について一人でも多くの人に知ってほしい」と述べ、控訴する意向を表明した。

 逮捕されたことによる社会的偏見はなかったとしながらも「痴漢をしていないことを社会に訴えることで(痴漢冤罪事件で)泣き寝入りした人たちの励みになる」との思いを述べた。

 判決が痴漢行為を認定したことについては「事実は一つしかなく、気にしていない。いずれは真実が勝利する。裁判所も認めざるを得ないと確信している」と語った。

 また、弁護団は「虚偽申告をした女性や違法な捜査を行った警察、検察を全面的に擁護し、免責するために事実をねじ曲げたと言わざるを得ない」との声明を読み上げ、判決を厳しく批判した。

 判決は、女性の証言について「具体的かつ詳細で信用できる」と指摘。「携帯電話を注意された女性が逆恨みして被害をでっち上げた。うそをうのみにした逮捕・拘置は違法」とする沖田さんの主張を「明らかに虚偽で信用性は低い」と退けた。

■過去にも“ねじれ”判決

 沖田さんの弁護団によると、痴漢事件で無罪・不起訴になった男性が、被害を訴えた女性や、捜査当局を管轄する国や都道府県に損害賠償を求め、民事訴訟で争うケースはまれだという。

 ただ、十日の地裁八王子支部判決のように、痴漢事件で刑事裁判と異なる判断を示した民事訴訟は、ほかにもある。

 二〇〇〇年にJR常磐線の電車内で女性の下半身を触ったとして逮捕・起訴され、無罪が確定した男性が女性に賠償を求めた訴訟で、東京地裁は「女性の供述は信用性があり、男性の痴漢行為は認められる」と“逆転有罪”の判断を示し、請求を棄却した。

 捜査当局に賠償を請求したケースでは、一九九九年に杉並区の路上での痴漢行為で逮捕され、無罪が確定した男性が女性と国、都に賠償を求めた訴訟がある。しかし、一審東京地裁、二審東京高裁とも「男性を犯人と信じた相当の理由があった」として、いずれの請求も棄却した。

 刑事裁判でも司法判断は揺らいでいる。痴漢事件に詳しい弁護士によると、全国では九八年以降、一審が有罪で、上級審で無罪判決の事件は四件あった。反対に一審で無罪、上級審で有罪だった事件も三件あるという。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tko/20060411/lcl_____tko_____000.shtml