2006年04月07日(金) 16時19分

＜偽証＞法廷でウソの事故目撃証言　２人逮捕　福岡地検（毎日新聞）

　福岡地検は７日、福岡県新宮町湊、会社員、伊藤宏（３５）と同県粕屋町内橋、同、長谷部勝利（３４）両容疑者を偽証容疑などで逮捕した、と発表した。交通事故をめぐって起訴された加害者の刑事裁判で、被害者だった伊藤容疑者に有利になるよう、長谷部容疑者が法廷で虚偽の目撃証言をした疑い。２人は容疑を認めているという。
　加害者の男性は懲役８月、執行猶予４年の有罪判決が確定。判決の認定事実の前提が崩れる可能性があり、地検は加害者の再審請求も検討するとしている。
　伊藤容疑者は０４年６月１６日、福岡市東区でバイクに乗り、トラック運転手の男性（５５）と衝突し、軽傷を負った。事故状況をめぐり、男性は「相手（伊藤容疑者）が車線をはみ出していたため衝突した」、伊藤容疑者は「正しい車線を走行していた」と主張が対立。男性は過失を一部否認しているとして、業務上過失傷害罪で起訴され、福岡地裁も有罪判決を言い渡していた。
　地検の調べでは、伊藤容疑者は加害者の男性の公判中だった昨年４月下旬ごろ、知人の長谷部容疑者に偽証を依頼。そのうえで伊藤容疑者も公判で「現場の目撃者を見つけた」と偽証し、長谷部容疑者が出廷。長谷部容疑者は昨年６月３日の公判で「伊藤さんのバイクは正しい車線上に倒れていた」と、伊藤容疑者の運転に問題がなかったかのような偽証をした。判決では、これをもとに男性の過失が認められた。
　だが、公判を傍聴していた伊藤容疑者の会社の上司が証言に疑問を抱き、長谷部容疑者を問い詰めたところ、実際には事故当時、佐賀県内で仕事中で、証言が虚偽であると認めたという。両容疑者はそれぞれの知人を通じて知り合っており、知人２人の偽証への関与も調べる。【石川淳一】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060407-00000061-mai-soci