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2006年03月28日(火) 02時51分

<オウム>松本被告の控訴棄却 死刑確定強まる 東京高裁毎日新聞

 地下鉄、松本両サリンや坂本堤弁護士一家殺害など13事件で殺人罪などに問われ、1審で死刑判決を受けたオウム真理教(アーレフに改称)の松本智津夫(麻原彰晃)被告(51)について、東京高裁(須田賢(まさる)裁判長)は27日、被告の訴訟能力を認めたうえで、控訴を棄却する決定を出した。最高裁の統計がある78年以降、1審で死刑とされた被告の控訴審が、棄却決定されるのは初めて。事件の首謀者とされる被告に対し、高裁で一度も公判を開かずに死刑判決が確定するという異例の事態となる見通しとなった。
 弁護側は28日に控訴趣意書を提出する方針を示していたが、提出期限は昨年8月末で大幅に遅れており、高裁は提出の遅れが裁判を継続するための「やむを得ない事情」に当たらないと判断した。弁護側には高裁に異議を申し立て、さらに最高裁に特別抗告して争う手段も残されているが、この際の審理対象は裁判手続き上の誤りがなかったかどうかに限られ、退けられる公算が大きい。
 弁護団は期限だった昨年8月31日、控訴趣意書の「骨子」を高裁に持参しながら、鑑定への立ち会いなどを拒否されたことから提出しなかった。このことについて、決定は「鑑定方法などの問題と趣意書の提出期限順守の問題は、全く次元が異なる別個の問題。鑑定方法は裁判所の裁量に委ねられ、鑑定方法に納得できないとしても不提出が正当化されるとは考え難い」と指摘した。
 さらに、控訴趣意書を提出しなかった行為について「被告から実質審理を受ける機会を奪うという重大な結果を招くおそれをもたらし、弁護士の職責からみても極めて問題がある」と批判。さらに、裁判所が期限後に、数度にわたって趣意書提出を強く求めたことから「刑訴規則の『やむを得ない事情に基づく』とは認められないのは明らか」と判断した。
 また、決定は先月の鑑定結果に基づき、松本被告は訴訟能力を欠いていないと結論付けた。
 高裁は04年6月、控訴趣意書の提出期限を05年1月11日と指定していたが、弁護団が「被告と意思疎通ができず、趣意書は書けない」と主張し、期限を同年8月末に延期した。さらに被告の訴訟能力の有無を判断するため精神鑑定を実施。2月20日に「訴訟をする能力を失っていない」との鑑定書が出されていた。
 刑事訴訟法は、裁判所が指定した期限内に控訴趣意書を提出するよう定め、これに違反した場合は決定で棄却するよう規定している。一方、刑事訴訟規則で「遅延がやむを得ない事情に基づくと認めるときは、これを期間内に差し出されたものとして審判をすることができる」との規定も設けられている。【武本光政】
 ▽松本被告の弁護人の声明 元来、公判を停止して治療すべきであるにもかかわらず、控訴審を開くどころか控訴棄却としたもので、裁判所がすべてを闇の中に葬り去ろうとしていることは明らか。直ちに棄却決定が無効であるとして異議申し立て手続きを取ると同時に、可能な限りの手段を講じて裁判所の暴挙を糾弾していく。
 ▽東京高検の笠間治雄次席検事の話 弁護人が正当な理由もないのに期日までに控訴趣意書を出さなかったのであるから、かねて当庁が申し立てた通り、裁判所が控訴を棄却したのは極めて妥当である。
(毎日新聞) - 3月28日2時51分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060327-00000106-mai-soci