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2006年03月27日(月) 00時00分

韓国ネット新聞 活躍の原動力  『オーマイニュース』呉連鎬代表に聞く(下) 市民記者の原稿をチェックするデスクら=ソウル市内の「オーマイニュース」編集局で 東京新聞

 「市民参加型ジャーナリズムへの関心が高いので、日本でも成功する可能性があると思った」。今夏にも日本に進出するという、韓国のインターネット新聞「オーマイニュース」の呉連鎬(オ・ヨンホ)代表は、進出のねらいをこう語る。オーマイニュースは、韓国では大手メディアと肩を並べるほどの影響力を持つといわれる。呉代表に、韓国での同紙設立のきっかけや理念を聞いた。 (ルポライター・瀧井 宏臣)

 ——なぜインターネット新聞を創設しようと思ったのか。

 「私は十二年間、月刊誌の記者を経験したが、市民の声が言論の場に反映されていないと感じていた。市民は職業記者に負けないほどの情報に接しているにもかかわらず、観客にとどまっていた。韓国に情報技術(IT)の波が押し寄せてきた一九九九年ごろ、インターネットを使えば市民も自由にニュースを発信することができると思い、インターネット新聞を創設した」

 ——オーマイニュースの意味は。

 「『オー』は私の名前ではなく、感嘆詞。よいニュースは記者の心を躍らせる。市民が身近な出来事に接して『オー』と心が動く時、だれかとそのニュースを分かち合いたいと思う。そういう時、市民記者としてネットで情報を発信してほしい。そんな意味を込め、付けた名前だ」

 ——モットーの「市民みんなが記者」の意味は。

 「記者とは、マスコミに勤務して、記者証をもらって記事を書くという特別な職業のことではない。ニュースを持っていて他人に伝えたいと思う市民は、みな広い意味で記者なのだ。記者のコンセプト自体を変えようと考えた」

 ——二〇〇二年の大統領選挙では、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領誕生の原動力となった。

 「盧武鉉氏を支持したわけではなく、予備選挙での支持者たちの新しい現象を報道しただけだ。特に、ネチズン(ネットワーク市民の略)の政治的な新しい動きに光を当てて、集中的に報道した。それはネチズンの動き自体がニュースだと考えたからだ」

 ——当選後、初の大統領単独インタビューをスクープできたのはなぜ。

 「選挙前から、大統領に政治改革を望む若いネチズンの声を伝えてきた。改革の中身についてはネットで訴えるべきだという、私たちの提案を大統領が受け入れたのだ」

 ——成功の秘訣(ひけつ)は。

 「まだ成功と言えるかどうかわからないが、『市民みんなが記者』という理念が、市民の参加を促した。多くの市民が言論に参加し、よりよい社会を実現したいという気持ちを持った。韓国の市民の七割がネット利用者という環境も影響したと思う」

 ——現在のオーマイニュースの課題は。

 「誤報を出さないよう、慎重に原稿をチェックすることだ。ただ、この六年間を見ると、市民記者の誤報は専門記者のそれより少ないし、きちんと訂正記事も出している」

<メモ>オ・ヨンホ 1964年、韓国全羅南道谷城郡生まれ。延世大学国文科を卒業後、月刊誌「マル(言葉)」で記者として活動。ワシントン特派員や取材部長なども務めた。94年には、50年の朝鮮戦争当時に忠清北道永同郡の村で米軍が300人余りの住民を虐殺した事件をスクープ。この記事は政府にも他のマスコミにも黙殺された。しかしスクープの5年後にAP通信の記者が同事件を報道、ピュリツァー賞を受賞した。99年に退社、2000年に若い記者たち3人と「市民みんなが記者」を旗印にオーマイニュース設立。現在、ネット界のカリスマ的なジャーナリストとして世界的な注目を集める。著書に「朝鮮の虐殺」「オーマイニュースの挑戦」など。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/dgi/20060327/ftu_____dgi_____000.shtml