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2006年03月27日(月) 22時43分

オウム松本被告の控訴棄却、訴訟能力を認定読売新聞

 地下鉄サリン、松本サリン、坂本堤弁護士一家殺害など13事件で、殺人罪などに問われ、1審で死刑判決を受けたオウム真理教の麻原彰晃こと松本智津夫被告(51)の控訴審で、東京高裁(須田賢裁判長)は27日、松本被告に訴訟能力があると認め、弁護側が期限までに控訴趣意書を提出しなかったことを理由に、公判手続きを打ち切る異例の控訴棄却の決定をした。

 弁護側は今後、同高裁に異議を申し立てる方針。認められない場合、最高裁に特別抗告することができるが、今回の高裁判断は覆らないとの見方が法曹界では強く、公判審理を経ずに、松本被告の死刑が確定する公算が大きくなった。

 刑事訴訟法・同規則は、提出期限までに控訴趣意書が提出されなかった場合、「やむを得ない事情」がある時を除き、決定で控訴棄却しなければならないと定めている。

 決定は、弁護人が昨年8月末の提出期限日に趣意書を持参したにもかかわらず提出を拒否したことについて、「弁護人は、趣意書が完成し、提出できる状態なのに、あえて提出しない道を選んだ」と指摘。「被告から公判審理を受ける機会を奪う恐れをもたらし、被告の権利を擁護する弁護士の職責から見て、極めて問題がある」と非難した。

 そのうえで今後の控訴趣意書提出について、「これまでの経過から、直ちに提出したとしても、やむを得ない事情がないのは明らか」と述べ、認められないと判断した。

 弁護側は「松本被告に訴訟能力はない」として公判手続きの停止を求めていたため、決定はさらに松本被告の訴訟能力について検討した。1996年10月の公判で、元教団幹部に対する証人尋問を、松本被告の意思に反して弁護人が行ったことをきっかけに、弁護人に不信感を持つようになったと指摘。沈黙を続ける松本被告について、「話す能力があるのに、弁護人と意思疎通をしない態度を貫いた」と認定した。

 そのうえで、松本被告が2004年2月の東京地裁での死刑判決直後、東京拘置所で「ちくしょう」などと叫んでいることから、「重大判決を受けたことを認識しており、拘禁による精神病を発病したとは認められない」として、現在も、訴訟能力は失われていないと結論付けた。

 松本被告の訴訟能力を巡っては、2月20日に同高裁の鑑定依頼を受けた西山詮(あきら)医師が「訴訟能力はある」とする鑑定書を提出。控訴趣意書の提出を拒んでいた弁護人は今月21日になって方針転換し、28日に趣意書を提出する考えを伝えていた。

 松下明夫、松井武両弁護人の話「控訴趣意書を提出すると伝えた矢先の決定で文字通りの暴挙。公判を停止して被告を治療すべきであるにもかかわらず、裁判所はすべてを闇の中に葬り去ろうとしている」

 東京高検の笠間治雄次席検事の話「弁護人が正当な理由もないのに、所定の期日までに控訴趣意書を出さなかったのだから、裁判所が控訴を棄却したのは極めて妥当である」
(読売新聞) - 3月27日22時43分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060327-00000012-yom-soci