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2006年03月27日(月) 15時33分

<カネボウ粉飾決算>帆足元社長らに有罪判決 東京地裁毎日新聞

 カネボウの粉飾決算事件で、東京地裁は27日、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)に問われた元社長、帆足隆被告(70)に懲役2年、執行猶予3年(求刑・懲役2年)、元副社長の宮原卓被告(64)に懲役1年6月、執行猶予3年(同1年6月)を言い渡した。渡辺英敬裁判長は、さまざまな手法を駆使した粉飾の巧妙さを指摘したうえで「我が国有数の企業であるカネボウが、公認会計士をも取り込み、証券取引市場の最低限のルールに違反した事実が社会に与えた衝撃は大きい」と述べた。
 両被告は控訴しない方針。昨年11月の初公判で起訴事実を全面的に認めていた。判決は帆足被告について「被告の指示なしには犯行はあり得ず、責任はより重大」と指摘。宮原被告についても「長年の銀行勤務で培った経理知識を悪用し具体的な粉飾手段を提案した」と述べ、2人の主導を認定した。
 一方で、カネボウでは昭和50年代から、粉飾をはじめ不正経理が横行する「負の遺産」があったことを認め「両被告が経営の実権を握ったころには既に巨額に及び、(粉飾の主な手口の)連結外しも行われていた。両被告はいたずらに粉飾を重ねたわけではなく、経営改革に向けて尽力していたことも否定できない」と述べ、執行猶予が妥当と判断した。
 判決によると、両被告は公認会計士らと共謀。同社の02年3月期の連結純資産額に相当する資本合計欄に819億8200万円の債務超過だったにもかかわらず9億2600万円と記載し、連結純利益も、64億9500万円の損失だったのに7000万円の利益とした虚偽の有価証券報告書を提出。03年3月期にも同様に、806億800万円の債務超過だったのに5億200万円と記載した虚偽の報告書を提出した。
 共犯として同法違反に問われた元中央青山監査法人所属の公認会計士3人の初公判は30日に開かれる。【佐藤敬一】
 ◇負の遺産にのみ込まれた元社長ら
 「企業利益を最優先し、投資家の利益をないがしろにした」。カネボウの粉飾決算事件で27日の東京地裁判決は、元社長、帆足隆(70)、元副社長、宮原卓(64)両被告の背信行為を厳しく非難した。かつて「営業の神様」「財務のプロ」とそれぞれ呼ばれた両被告は、経営再建を託されながら同社の負の遺産にのみ込まれ、粉飾決算に手を染めた。有罪が告げられると、目をつぶって判決理由に聴き入った。
 午前10時前、東京地裁104号法廷。帆足被告はグレー、宮原被告は紺のスーツ姿で入廷した。裁判長から、執行猶予付き有罪の主文を言い渡されると、帆足被告は硬い表情で頭を下げ、宮原被告は立ち尽くした。
 両被告はカネボウや株主から損害賠償請求訴訟を起こされ、自宅は仮差し押さえを受けている。退職金も出ず、経済的には苦しい状況という。帆足被告は糖尿病を患っているうえ、一昨年には胃がんと診断された。
 今年1月10日の第3回公判での被告人質問で、帆足被告は「従業員や家族、株主に迷惑をかけるわけにはいかないと思い、破たんの道ではなく連結外しの道を選んだ。やむを得ないとは思わなかったが、負の遺産でどうしようもなかった」と述懐。「責任は私を含めた歴代の全社長にある」と述べた。
 その一方「銀行が何とかしてくれればこんな体たらくにはなっていなかった」「監査法人も、早く『駄目なものは駄目』と言ってくれれば、違う対応が出来ていた」「私が後任に指名した中嶋(章義・現カネボウ会長)は何もせず、我々旧経営陣のせいだと言っているだけ。本当に再生なんて考えていない」と恨み節ものぞかせた。
 宮原被告も同じ日の被告人質問で「カネボウはすそ野が広い会社で、倒産すれば多大な迷惑をかけると思った。破たんと粉飾のどちらを選択すれば良かったか、今でも解決していません」と悩める心情を明らかにした。【佐藤敬一】
(毎日新聞) - 3月27日15時33分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060327-00000038-mai-soci