悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年03月25日(土) 00時00分

お手軽情報 タダの魅惑読売新聞

求人、旅、占い…フリーペーパー花盛り
全国で1200誌/有料やめて増刷も

約40種類のフリーペーパーがずらりと並ぶ東京・銀座の三愛ドリームセンター。女性が次々に手に取っていく

 駅、コンビニ、喫茶店。表紙に「無料」「0円」と掲げた雑誌を街のあちこちで見かける。実際に手に取ったことがある人も多いはずだ。なぜ今、フリーペーパーが大量に発行されているのだろうか。

 東京・銀座4丁目交差点の商業ビル「三愛ドリームセンター」1階に、フリーペーパー約40種類がずらりと並ぶコーナーがある。ジャンルは求人、ファッション、占い、旅と多種多様。大半がオールカラーで、車や通販、美容サロンなどの広告を載せており、少し薄めなことを除けば市販の雑誌とあまり変わらない。同センターの浅野道夫館長(57)によると「100部が2、3日でなくなる。置きたいという雑誌が多く、断っているほど」。豊島区西池袋の会社員清水紗英さん(28)は「フリーペーパーは飲み会のお店探しに使う。ちぎったり書き込んだりできるから、携帯サイトより便利」と言う。

 業界団体の日本生活情報紙協会(東京)によると、フリーペーパーはここ数年急増し、昨年は過去最高の154誌が創刊された。現在、少なくとも全国で約1200誌あるという。

 配布代行やインターネットでの紹介を手掛ける「ポイントラグ」(同)社長の秋元英二さん(30)は、「ネット情報は、受け手が探し当ててくれるのを待たなければならず、実は、送り手にとっては受け身のメディア。フリーペーパーは読者が直接手に取るため、情報を届けやすい。広告主もそこにメリットを感じている」と説明する。

 2004年7月創刊の「R25」(リクルート)は、「本屋に行かず、雑誌を買わない人」をターゲットとし、コンビニや駅などで配布する。毎週木曜に発行する約60万部は週末に捌(は)けてしまう。同社広報部は「タダだけでは読んでもらえない。読者の生活圏に入り込むことが大事」と言う。

 有料から無料に転じる雑誌も現れた。

 1891年に坪内逍遥が創刊した老舗文芸誌「早稲田文学」。昨年11月、隔月刊のフリーペーパー「WB」としてリニューアルした。1冊720円で2000部を発行していたが、慢性赤字のため昨年5月号で休刊。早稲田大学が出す年1000万円の補助では経費を賄えないため、思い切ってA4判約20ページにし、論文や批評を外して作家のエッセーを中心にした。

 配布場所は書店のレジの脇、図書館、喫茶店など全国約500か所。スタッフの市川真人(まこと)さん(34)は、「最初の1万部がすぐなくなり、2万部に増やした。無料だから、これだけ読んでもらえる」と話す。

それなのに気まぐれ読者 すぐポイッ?

 フリーペーパーの攻勢を受け、既存の情報誌には、「売れる情報とは何か」を問い直す動きも出ている。

 1976年創刊のタウン誌「シティ情報ふくおか」(福岡市)は最大時に12万だった部数が、新興無料誌の参入などで10万を切るまでになり、昨年6月、一時休刊に追い込まれた。そこで編集長の伊藤尚子さん(35)らが打ち出した方針は、「読者が買って読みたいと思える独自情報と、よそでも手に入る情報を区別して扱う」だった。

 昨年11月に復刊した同誌は、地域住民の人間模様やインタビューなどを載せる有料月刊誌(5万部)と、イベントや新店舗の情報が中心の無料誌(12万部)の2本立て。無料誌は有料誌に挟むほか、飲食店やチケット売り場などで配布している。

 ただ、「無料誌は有料誌に比べ読者の反応が少なく、どう受け止められているか見えない」と伊藤さん。大量にさばけても、読まれているとは限らないのがフリーペーパーの難しさだ。

 再び、銀座の三愛ドリームセンター。結婚情報誌を手にした練馬区豊玉南、会社員横山彩花さん(24)は、こう話した。「タダだから、つい持っていくけれど、大抵すぐ捨てちゃいますね」

 このコーナーへの意見や感想、情報はnavi@yomiuri.comにお寄せください。


http://www.yomiuri.co.jp/feature/navi/fe_na_06032501.htm