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2006年03月23日(木) 00時00分

ひとり暮らしを始める前に<4> 悪質商法 東京新聞

 新入生や新社会人が街にあふれる春は、若者を狙う悪質商法がはびこる季節でもある。見知らぬ人に会う機会の多い、ひとり暮らしを始めたばかりの学生や社会人は特に注意が必要だ。

■借金だけ残る

 三重県でひとり暮らしする学生Aさん(21)は昨年、「友人の友人」に、もうけ話を持ちかけられた。仕組みはこうだ。

 本部から渡されるビラを配って、そこに載っている商品が売れれば、売り上げの一部をマージンとしてもらえる。新会員を誘ってもお金が入る。ただし、その話に乗るには、一口十七万円を本部に払って「オーナー」という地位を得なければならない。

 Aさんは最初、話を疑っていた。しかし、「確実に月何十万円も稼げる。もっともうかる人もいるから」と「友人の友人」に説得され、二口分のお金三十四万円を払ってオーナーになった。しかし、その後、Aさんのもとにはビラは回ってこなかった。当然、マージンもゼロ。オーナー権取得の際には、学生ローンからの借り入れをさせられ、Aさんには借金だけが残った。「だまされた」。Aさんの怒りは収まらない。

 Aさんが遭ったのは、マルチ商法。販売組織の会員が友人、知人などをもうけ話で誘い、商品を購入させ組織に入れる。さらに、その会員がまた新しい会員を入会させ…ということを繰り返し、ピラミッド型に組織を拡大する商法だ。末端の会員は過剰在庫を買い取らされ、自己破産するケースもある。Aさんの場合、実際に商品のやり取りがないので、法律で禁止されているネズミ講にあたる可能性があると弁護士らは指摘する。

 こうしたマルチ商法の被害は若者の間で増加傾向だ。国民生活センターに寄せられた二〇〇四年度の学生からのマルチ商法に関する相談は、千五百八十件と二〇〇〇年度の倍以上に増えた。

 関係者によると、商品を販売する昔ながらのマルチに加え、最近は、Aさんの被害例のように、商品を売るための権利や商品販売のノウハウを紹介するビデオを数十万円で新会員に売りつけて資金を集めるマルチが増えているという。

 勧誘してくるのは、サークルやゼミの先輩、「友人の友人」、バイト先の同僚などさまざま。「君も“勝ち組”になろう」などと誘ってくるケースもある。収入だけでなく「仲間と一緒に人生を切り開く」「新しい自分を見つけられる」などと、若者の心をくすぐるセールストークも多彩だ。

■別の手法も注意

 マルチ以外にも、新生活への不安や解放感につけ込み、さまざまな悪質商法が若者を狙う。

 名古屋市内のひとり暮らしの大学生Bさん(22)は、一年生の四月、パソコン基本ソフトのオンライン講座を申し込んだ。学生宅に訪れた販売員に説得されたのだという。「パソコンぐらいは使えるようになりたいと思っている時だったので、つい契約してしまった」。講座は量が多すぎて、一部を利用しただけ。約五十万円の契約料と月々五千円の会費は高かった、とBさんは後悔している。

 国民生活センターのまとめでは、四−六月に特に増えるのは「アポイントメントセールス」と「キャッチセールス」。アポイントメントセールスは、販売であることを隠して電話などで誘い出し、強引に高額な商品を契約させる商法。キャッチセールスは、キャンパス内や街頭などで声をかけ、事務所などに連れて行き、高額な商品を売りつける商法だ。

 悪徳商法被害者対策委員会(東京)の堺次夫会長は「悪質業者は、地方から出てきたばかりの若者はだましやすいと分かっていて、巧みに見分け、狙ってくる。新しい生活に慣れ、気の緩む五月が一番危険」と警戒を呼び掛ける。 (ひとり暮らし取材班)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20060323/ftu_____kur_____001.shtml