2006年03月15日(水) 19時46分

＜オウム事件＞新実被告、２審も死刑　弁護側は上告へ（毎日新聞）

　地下鉄、松本両サリンや坂本堤弁護士一家殺害など１１事件で殺人罪などに問われたオウム真理教（アーレフに改称）元幹部、新実智光被告（４２）に対し、東京高裁は１５日、１審・東京地裁の死刑判決（０２年６月）を支持し、被告側控訴を棄却した。
　原田国男裁判長は１審に続き松本智津夫（麻原彰晃）被告（５１）＝控訴中＝を首謀者と認定。「犯罪史上まれにみる悪質な犯行で、最古参の信者で最高幹部だった被告の責任は極めて大きい。松本被告に次ぐ責任を負うのは当然で、死刑以外を選択する余地はない」と述べた。弁護側は上告する方針。
　教団による一連の事件で、控訴審で死刑判決を受けたのは９人目。このうち岡崎一明元幹部（４５）は最高裁で死刑が確定している。
　控訴審で弁護側は「被告は松本被告に帰依し、指示に逆らうことは許されなかった」と死刑回避を主張。判決は「松本被告の指示に抵抗感や疑問を抱くこともあり、その指示がすべての行動を律していたとまで認められない。教義に基づく殺人が社会的な非難を浴びることは十分認識しており、心理的強制はなかった」と退けた。
　さらに「犯行の動機は、被告の主観では『衆生の悪業からの救済』という『崇高な』目的でも、客観的には教団に不利益な者を計画的に抹殺する行動で、教団の組織防衛以外の何ものでもない」と指摘。「松本被告への帰依を依然正しいものとして保持し続け、謝罪の仕方も被害者らを慰謝するにはほど遠い」と非難した。
　判決によると、新実被告は▽坂本弁護士一家殺害事件の実行役▽松本サリン事件の下見などリーダー役▽地下鉄サリン事件で実行役の送迎——など関与した１１事件で計２６人を死亡させた。松本被告の計２７人に次いで多い。【佐藤敬一】

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