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2006年03月14日(火) 00時00分

ビデオジャーナリストの役割読売新聞

 「ビデオジャーナリスト(VJ)」という職種がある。取材しつつビデオカメラも回し、立ちレポ、編集、原稿も一人でこなす。通常、数人からなるテレビクルーとは全く異なる。

 かつて東京メトロポリタンTVが、発足時に20人のVJ制をとったことが思い起こされるが、誰でも発信出来るネット時代になってVJは徐々に増えている。自らのサイトから発信する著名VJもいれば、新聞社の社員VJも少なくない。特に有名なのが米・ワシントン・ポストのVJたちで、ホワイトハウス報道写真家協会のコンテストではテレビ局と同列で競っても毎年、ダントツの入賞率だ。

 この流れはテレビ局にも及んできた。米テネシー州のあるローカル局では、昨夏、カメラマンと記者を訓練してVJに仕立てた。これで従来の13のカメラクルーが30のワンマンチームに変身、出稿量は5割増しになった。一つのテーマに時間がかけられるので質も向上したともいう。特筆すべきは、ブロガー数十人にもVJの講習を施した上で特約VJとし、取材体制をより強力にしたことだ。

 その狙いは「より良いニュース番組を提供することで視聴者のインターネット傾斜による“テレビ局離れ”と闘うため」だという。すべてのニュース映像を自社サイトから世界に発信しているのもその考えの延長線上にあるのだろう。

 こうしたネットを意識した積極的な動きからすると、5年後の地上デジタル放送全面移行時に始まるテレビ局のIP放送を巡る国内の議論は、なにか現実離れした消極的な印象を受ける。配信範囲を放送範囲内にとどめるか否かが焦点なのだが、民放側は、東京の番組が地方でも見られると地方局の経営に影響するおそれもあるとして全国配信に後ろ向きとされる。

 気持ちは分からないではない。でも、ネットの進化は速い。極端な話、5年後にIT企業が特約VJを活用してニュースを全国に発信する体制を整備していたらどうするのだろう。(ITジャーナリスト 島田範正)

http://www.yomiuri.co.jp/net/column/kougengaku/20060314nt03.htm