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2006年03月13日(月) 00時00分

フリー百科事典『ウィキペディア』 人類の英知ネットで紡ぐ ウィキペディアの「鉛筆」の記事 東京新聞

 「どうしてスルメをアタリメって言うの?」などと子どもに聞かれると、私はまずネット上の無料百科事典「ウィキペディア」(Wikipedia)で調べる。二百を超す言語で作成され、日本語版だけでも約十八万項目四十万ページもあり、しかも、毎日新たに約二百件の記事が加わっている。そんなウィキペディアの運営を支えている世界中のボランティアの一人、今泉誠さん(29)に会った。 (テクニカルライター・森 真由美)

 東京都中野区に住む今泉さんの本業は、エンジニア。家に帰るとまず仮眠し、深夜の二、三時間をウィキペディアに費やすという。

 「韓国にあるアジアのサーバーの負荷が軽い時間帯が深夜なので」と苦笑い。

 「ウィキペディアの収入は個人の寄付に頼っています。ほとんどハードウエアの購入に充てているのですが、サーバーが増えたらその分使う人が増えるという自転車操業で…」。世界規模のプロジェクトを支えているにしては、なんとも頼りない資金状態だ。

 もちろん、月に百時間以上ウィキペディアにかかわっている今泉さんも、もちろん無報酬。それでも続けている理由は「楽しいからです」。

 日本には、今泉さんなど運営にかかわる管理者が三十五人いるほかに、月に百回以上編集してくれる参加者が、中学生から五十代まで常時二百から三百人いるという。

 子どものころパソコン少年だった今泉さんの仕事は、プログラムの設計。「二年前に趣味でオンライン百科事典を作ろうとして調べたら、すでにウィキペディアがあるじゃないですか。それで記事を投稿したら、自分の文章が載ったんです。『これはおもしろい!』と思って」が管理者となった動機。「関心があったら一度編集してみてください」と言う。

 ウィキペディアはウィキと呼ばれるシステムを使って、ウェブブラウザ上でだれもが記事を書き換えられる百科事典。このため、時には間違った記事が掲載されることもある。でも、気づいた人が直すことで、じきに正確な内容に修正される。「明らかに間違った記事は人の目が増えれば必ず修正されます」と今泉さん。

 大切なことは、いつも中立な立場でさまざまな見方の記事を載せること。例えば、竹島問題では、日韓両国の主張が併記してある。とはいえ、米国が発祥の地ということもあり、科学や人物評などは英語圏から見た情報に偏り気味。やっかいなのは、他サイトなどから無断で転載するケース。投稿者は善意で行っているのだろうが、著作権を侵害している意識がないケースが多い。結局、記事の間違いも偏見もマナー違反も、正すのは大勢の“人の目”だ。

 ヒトノメといえば、冒頭のアタリメ。その由来を調べたところ、スルメの「スル」という部分が「金をする(使い果たす)」という語感を持つため、縁起をかついで「アタリメ」と言い換えられる、とあった。

 ウィキペディアの目的は「信頼されるフリーな百科事典を創り上げることです。それも、史上最大の、質も量も最高の百科事典を」。創始者、米国人ジミー・ウェールズ氏の理念に共鳴する世界中の人が、今日もまた人類の英知を紡いでいく。

 ウィキペディアのURLは、http://ja.wikipedia.org/wiki/。寄付も同サイトで受け付けている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/dgi/20060313/ftu_____dgi_____000.shtml