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2006年03月02日(木) 00時00分

多重債務者 200万人  金融庁 対策へ本腰 東京新聞

 消費者金融やクレジットを使い過ぎ、返済に行き詰まった多重債務者は全国200万人ともいわれる。深刻化する問題の打開に向け、金融庁は関連法の改正に向けた検討作業を本格化させている。貸金業者の法定の貸出上限金利の見直し、貸金業者の過剰融資規制が焦点だ。日本弁護士連合会が先月「上限金利引き下げ実現本部」を設置するなど、関係者の動きも急。最前線を追った。

  (白井 康彦)

 金融庁は昨年三月、識者を集めた「貸金業制度等に関する懇談会」(総務企画局長の私的懇談会)を設置。これまで十一回の会合が開かれた。

 今年に入って開催頻度が増えた上、委員らの発言時間が長くなり、議論が白熱化してきた。

 第九回会合で金融庁の事務局が配布した「今後の検討課題」の文書には、クレジットカウンセリング(多重債務者に対するカウンセリング)、金銭教育、過剰貸し付け防止規制、金利規制など多重債務問題に関連する論点がずらりと並んだ。

 委員の発言では「消費者金融会社のほとんどが上限金利に近い貸付金利で営業していることが疑問」「消費者金融会社のCMを見て安心して借りている人がいるので、広告のあり方についても検討してほしい」など、多重債務問題の原因を消費者金融業界に求める意見が目立つ。

■最高裁判決が影響

 金融庁の検討作業に影響を与えたのは最高裁判決。貸金業者と債務者とを当事者にした訴訟で、昨年末から立て続けに出された。

 大手消費者金融会社を含め貸金業者の多くは、出資法上限金利(年29・2%)と利息制限法上限金利(貸付額により年15−20%)の間のグレーゾーン金利で営業している。最高裁は一連の判決で、グレーゾーン金利が容認される要件を極めて厳格に示した。その結果、要件を満たしていない業界各社は最高裁が容認しない金利帯で営業しているという実態になった。

 このため、金融庁は「グレーゾーン金利が存在する法体系を見直さなければならない」という姿勢を強めている。同庁は過剰融資規制にも強い意欲を示す。一昨日の第十一回懇談会では、後藤田正純政務官が業界関係者に、この規制に関連して考え方を尋ねる場面もあった。

■弁護士ら運動展開

 多重債務者の救済運動に取り組む弁護士や司法書士らによる「全国クレジット・サラ金問題対策協議会」、各地の市民団体でつくる「全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会」はずっと以前から上限金利引き下げを求め運動してきた。

 「出資法上限金利を少なくとも利息制限法上限金利まで引き下げるべきだ」とする主張だ。

 両団体の働きかけで、今年に入って仙台市、大阪市、金沢市など各地で金利引き下げを呼びかける集会が開かれた。四日には東京で五百人参加の大規模集会を開いて街頭デモも行う計画だ。

 両団体の主張に沿った意見書は、日弁連と日本司法書士会連合会も発表済み。その上、日弁連は梶谷剛会長を本部長とする金利引き下げ実現本部を設置した。各地の都道府県単位の弁護士会も協力する見込みだ。

■業者は阻止に懸命

 一方、貸金業界は利益縮小につながる上限金利引き下げを阻止しようと懸命。金利規制論議は今後、国会でも展開される見通しで、業界は超党派の議員連盟「金融システム整備による経済活性化を推進する議員連盟」が設立される動きに期待を寄せている。

 業界側は、「上限金利を引き下げれば、借りられない人が増える。違法な超高金利のヤミ金融に手を出してしまう人も多くなる」と主張している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20060302/ftu_____kur_____000.shtml