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2006年03月01日(水) 00時00分

民主、お粗末危機管理 検証・メール問題 東京新聞

 普通の企業なら、あたりまえのリスクマネジメント(危機管理)が、備わっていない。送金指示メール問題をめぐる民主党の対応は、そういう印象を随所にみせる、お粗末なものだった。この集団には、いったい何が欠けているのだろうか。一カ月間の同党の対応を検証すると、三つの問題が浮かび上がってくる。 (政治部・民主党取材班)

■調査能力

 二月初旬、仲介者を経由して永田寿康衆院議員にもたらされた問題メール。永田氏が衆院予算委員会で質問したのは、それから約十日後の十六日だが、その間に情報の確度は、ほとんど高まっていない。情報のウラをとるためには情報源に直接当たるのが常道だが、民主党は、今でも情報源と接触できていない。そして今は、情報源の存在すら疑わしいとささやかれている。

 問題メールは、送信者と受信者が同一人物だと指摘されているが、永田氏はそのことを知らなかった。野田佳彦国対委員長からこのことを聞かされると、永田氏は絶句した後、「(仲介者に)確認してもいいですか」と聞いたという。これは、永田氏の質問よりも後に起きたことだ。

 今回、民主党は「情報源を守る」ために情報の開示を限定してきた。が、ここまでくると情報源を守るというより、調査能力のつたなさが、情報開示をためらう原因だったような印象を国民に与えかねない。

 ライブドア事件の発生以来、民主党には、ライブドアと自民党とのつながりをにおわせる情報が多く寄せられていた。それだけに「何かあるんじゃないかという先入観があって有頂天になり」(鳩山由紀夫幹事長)十分な調査・分析もないまま見切り発車してしまった。

■情報管理

 比較的若い議員が多い民主党は、これまでも情報管理が甘いと指摘されてきた。

 その反省もあったのだろう。今回は、かなり厳格な情報統制が行われた。

 永田氏は八日ごろに野田佳彦国対委員長、十一日には前原誠司代表にメールの件を相談しているが、鳩山氏や玄葉光一郎幹事長代理が知ったのは、それよりもずっと後のことだった。

 乾坤一擲(けんこんいってき)の情報だけに事前に漏えいするのを避けたかったのだろう。

 しかし、この結果、疑惑をどのように取り上げるかという戦略性を欠いた。そして、メールの信ぴょう性に疑問が持たれてからは、一貫性のある説明責任を十分果たせない遠因になった。

■質問技術

 国会で百パーセント確証のない問題が取り上げられることは、珍しくない。スキャンダルのたぐいは、むしろその方が多い。

 一九九三年から九四年にかけて野党だった自民党は、次から次へと細川、羽田政権の閣僚や連立与党幹部の疑惑を国会で追及、両政権を短命で終わらせた。自民党の追及の中には、十分な確証のないものもあったが、そのことはさほど批判されなかった。

 当時の自民党と、今回の民主党の最大の違いは、リスクへの対応を想定した質問技術の有無だ。

 確証のない疑惑を取り上げるときは、追及する側にも大きなリスクが伴う。その場合、「〜という指摘があるが本当か」などと“逃げ場”を作るものだ。また、週刊誌などにリークしておいて「報道によると…」と責任の所在をぼかす高等テクニックも、時々使われる。

 ところが、永田氏は十六日の質問で「武部勤幹事長が『息子です』と持ち上げた人と実の息子が三千万円のやりとりをしているという(ことが明らかになる)指示が、堀江貴文容疑者から出ている」と断言した。この疑惑が事実だったら、永田氏の発言は、歴史的名質問として残ったかもしれないが、少なくとも今回は裏目となった。

 永田氏だけの問題ではない。前原氏も二十二日の党首討論で疑惑について「確証を得ている」と言い切った。“逃げ場”のない発言の積み重ねが、問題を雪だるま式に大きくし民主党を窮地に追い込んでいった。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060301/mng_____kakushin000.shtml