悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年02月27日(月) 15時10分

携帯電話業界への進出をはかるウイルス対策ソフト企業CNET Japan

 携帯電話には動画やゲーム、写真、音楽を取り入れることができるようになった。さて、この次に来るのはウイルス対策ソフトだろうか。

 ウイルスを撃退するプログラムは、Windows PCにとって必要悪となっている。ウイルス対策業界は今度は携帯電話に注目し始めている。しかし携帯電話事業者らは、携帯端末がセキュリティ対策に適しているかどうかに確信を持てず、このことには難色を示している。

 米国の主要携帯電話事業者のひとつであるVerizon Wirelessは、顧客の携帯電話にウイルス対策ソフトを搭載する必要性を感じていない。「現時点では、個人顧客にとっては全く必要ないものである」と同社の広報担当Jeffrey Nelsonは述べている。

 しかしセキュリティソフトウェアのメーカー各社は、巨大な潜在的市場である携帯端末に製品を搭載させようと躍起になっている。Gartnerによると、2005年には携帯電話とスマートフォンを含めた携帯端末がおよそ8億1200万台販売されたという。これは同時期のPCの販売台数が推定2億1900万台であったのと比較できる。同市場調査会社は、携帯機器の年間出荷台数が2008年には初めて10億台を超えると予想している。

 携帯電話に対する脅威は規模が小さいが、この状況が変わりそうであるという点では、セキュリティ専門家やアナリストらも同じ考えである。Gartnerは、2007年末までには広範な攻撃が表面化する可能性があると示唆している。嵐の前の静けさにある今の時期においては、アンチウイルスのメーカーと携帯電話事業者の間では必要とされる防御策について意見が一致しない。解決策が得られないまま、損をするのは携帯電話利用者となるかもしれない。

 セキュリティ会社F-Secureのチーフリサーチオフィサーを務めるMikko Hypponenは、先週開催されたRSAカンファレンスの参加者を前に、2004年6月以来、携帯電話を標的にしたウイルスは150種以上発見されており、世界中で何万もの感染が報告されたと伝えている。

 この数字を多いとする見方もあるかもしれないが、15万件以上にのぼるPCウイルスの数と比べればたいした数字ではない、とF-Secureの報告書にはある。これまでのところ、携帯電話に感染するウイルスのほとんどは、攻撃が可能であることを示すためだけに作られ、実際にネットワーク上に出現したことはない。「今でも、Windowsでマルウェアの攻撃を受ける可能性のほうが、携帯電話への攻撃を受ける可能性よりもずっと高い」とHypponenは言う。

 それでも、一部のウイルス対策ソフトウェアメーカーは携帯電話のリスクについて警告を発している。マルウェア攻撃の対象となり得る高機能携帯電話機を持つユーザーが増えるのを受けて、ここ1〜2年のうちに携帯電話への攻撃件数が変わる可能性があると主張している。

食い違う対策方法

 携帯電話機用セキュリティソフト販売で先頭を行くのは、Symantec、McAfeeそしてF-Secureだ。ヘルシンキに本社を置くF-Secureは最近、Nokiaとの関係を拡大し、Nokiaの顧客に同社のウイルス対策ソフトウェアを販売すると発表した。Symantecも、世界最大の携帯電話メーカーNokiaと類似の契約を既に結んでいる。McAfeeのソフトウェアは、日本で一部の電話機に搭載されている。

 概して、ウイルス対策ソフトウェアメーカーは自分たちの製品がもうすぐ携帯電話すべてに搭載されるだろうと考えている。「将来的には、すべての携帯電話にウイルス対策システムが乗るだろう」とHypponenは述べる。

 通話サービスの契約と電話機を一緒に販売することが多い米国の携帯電話会社の中には、この見方に賛成しない会社もある。Verizon Wirelessは反対の立場を既に明らかにしており、T-Mobile USAはまだ選択肢を探っている段階だという。「どのように顧客のニーズを最適に満たすかを決めるため、市場の情勢を理解する段階にある」とT-Mobile USAの広報担当者は述べる。「われわれは、T-Mobileが販売した電話機が攻撃を受ける可能性と、そのリスク軽減のために必要な対策を検討中だ」(同担当者)

 Commwarriorは、ウイルス対策関連企業が最も一般的な携帯電話ウイルスのひとつと呼ぶウイルスで、携帯電話回線またはBluetoothを通じて送られるMMSメッセージを媒体として広がる。

 携帯電話事業者にスキャンツールを販売するFortinetは、スキャンされた全MMSトラフィックのうち10%近くがウイルスに感染していると述べる。Fortinetによると、携帯電話ウイルスの種類は、2004年には20種類以内だったものが2005年には100種類以上と、5倍以上も増えたという。

 Gartnerのアナリストもスキャンという方法を後押ししており、携帯電話にウイルス対策ソフトを搭載するのは間違いだと述べる。ウイルスの主な感染経路がフロッピーから電子メールに変わった時点で、PC用のウイルス対策ソフトウェアはその効果をほとんど失い単なる駆除ツールと化した、と同社は2005年6月の報告書に書いていた。

 「携帯電話業界はPC業界の間違いを繰り返すべきではない。マルウェア対策はまずネットワーク上で実施されるべきで、デバイス側の対策は最後の手段とすべきだ」とアナリストのJohn PescatoreとJohn Girardは書いている。


この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

関連記事
携帯電話からPCに感染するウイルスが出現 - 2005/09/26 13:30
「2007年末には携帯電話ウイルスの脅威が本格化」--セキュリティ専門家が予測 - 2005/06/22 17:42
携帯電話ウイルス「CommWarrior」発見--危険度は「Cabir」よりも上 - 2005/03/08 10:53
携帯電話機を狙う新たなウイルス登場 - 2005/01/11 12:35

[CNET Japan]
http://japan.cnet.com/
(CNET Japan) - 2月27日15時10分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060227-00000001-cnet-sci