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2006年02月26日(日) 02時48分

明治の法律“リフォーム” 窃盗罪に罰金刑 落とし物情報集約産経新聞

 明治時代に制定された法律の改正に向け、法務省や警察庁が作業を急ピッチで進めている。落とし物の取り扱いを定めた遺失物法、窃盗罪に懲役刑しか定められていない刑法…。漢字・カタカナ交じりの法律もあり、百年前後の時の流れの中で中身も現代にそぐわないものとなっている。それぞれの法律が抱える事情は異なるが、法務省や警察庁は“平成の世”にマッチした改正法案の今国会成立を目指している。
≪遺失物法≫
 「他人ノ遺失シタル物件ヲ拾得シタル者ハ速ニ遺失者又ハ所有者其ノ他物件回復ノ請求権ヲ有スル者ニ…」
 百年以上昔の明治三十二年に制定された遺失物法は、こんな条文で始まる。
 落とし物については現在、警察署単位で取り扱うことが基本となっている。遺失物法が制定された当時は、国民の生活圏が狭かったこともあり、最寄りの警察署に問い合わせれば落とし物が見つかるとの前提に立っていたからだ。
 しかし、現代は自動車の普及や公共交通機関の発達で、生活圏が都道府県境を越えて大幅に拡大し、警察署単位での取り扱いを基本としている制度は実態にそぐわないものとなっていた。
 そのため、警察庁では遺失物法の改正で、警察本部ごとに情報を集約する検索システムの導入など、落とし物の早期返還に向けた手続きの整備を進める方針だ。
≪刑法・法例≫
 明治四十年に制定された刑法では、窃盗罪で「十年以下」の懲役刑しか定められていない。軽微な場合には訴追されないこともあり、改正で「五十万円以下」の罰金刑が新たに導入される。
 制定当時は、「罰金を払うこともできない貧乏人の犯罪」との認識が大勢を占め、実効性のある懲役刑だけが規定されたとみられるが、法務省では罰金刑の新設で、“ゲーム感覚”で行われることもある万引など窃盗の抑止効果を狙っている。
 また、「法例」と呼ばれる聞きなれない法律がある。国際的な取引や契約で問題が生じた際、どこの国の法律に基づいて解決を図るかを定めており、明治三十一年に制定された。
 法務省幹部は「『〇〇法』や『××に関する法律』など、普通は法律であることが一目で分かるが、そうでないのは皇室典範と法例ぐらい」と指摘。「分かりにくい」との批判もあり、名称については既に、今年に入って「法の適用に関する通則法」と改めた。
 内容についても、インターネットを利用した取引の急増など経済活動の多様化に合わせ、トラブル時には契約が締結された国の法律を適用している現行の規定を見直し、消費者が居住する国の法律で解決を図る規定の新設などを盛り込んだ改正案の成立を目指す。
≪旧監獄法≫
 旧監獄法は、明治四十一年に制定されたが、刑務所に収容されている受刑者の処遇改善が先行する形で、五月までに施行される「刑事施設・受刑者処遇法」によって権利・義務の明確化が図られた。
 一方、判決が未確定の被告人など未決拘禁者については、警察留置場を拘置所代わりに使う代用監獄の存廃議論に阻まれ、旧監獄法に基づく処遇が継続。受刑者との格差が懸念されてきた。
 こうした事情から、法務省と警察庁の有識者会議では未決拘禁者の処遇改善を優先させるため、今月二日にまとめた提言で代用監獄について「今回の法整備に当たって」との限定を付けて存続容認を打ち出し、存廃については今後の議論に委ねる格好を取った。
 法務・警察両省庁は提言を踏まえ、旧監獄法の未決拘禁者に関する規定を「刑事施設・受刑者処遇法」に統合した上で改正し、視察委員会の設置や不服申立制度の導入など留置場運営の透明化で処遇改善を図ることにしている。(大塚創造)
(産経新聞) - 2月26日2時48分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060226-00000002-san-soci