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2006年02月26日(日) 00時00分

中古家電 どこへ? 東京新聞

 二〇〇一年度以前に製造されたオーディオやテレビなど家電製品の多くが、四月から販売禁止となる。電気用品安全法が本格的に適用され、国の安全基準への適合を示す新マーク「PSEマーク」がない製品は販売できなくなるからだ。製品としての安全基準は十分満たしているのだが、新マークがないため販売禁止になる。まだ使える中古品が大量に廃棄される恐れもあり、リサイクル業界や消費者団体から疑問の声が上がっている。 (押川 恵理子)

 名古屋市内のあるリサイクル大手チェーン。店内のオーディオ機器の棚には高級なアンプなどの中古品がずらりと並ぶ。中には二十万円近い商品もある。

 「この棚のほとんどの製品が四月から売れなくなる」と、店長はため息を漏らす。店には四月以降の販売禁止対象品が二百点以上あり、このままでは売り上げが二割減る恐れが出ている。

 年代物のオーディオ機器は愛好家の間で高額で流通。「博物館に並ぶような機器もあるのに、社会の財産が失われることにもなる」と同店長。顧客からも「もったいない。何のための法律だ」と怒りの声が上がっているという。

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 電気用品安全法=メモ参照=の本格実施により、PSEマークがないと四月から販売できなくなるのは、オーディオ機器のほか、テレビや冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子レンジなど二百五十九品目にのぼる。

 同法が旧法(電気用品取締法)から変わった主な点は、製造業者らの自主検査に基づく、PSEマークの表示義務。経済産業省によると、製品ごとの「技術基準の適合義務」は旧法時と変わっていない。つまり、耐燃性やさびにくさなどの安全基準を満たし、品質に問題がなくても、新マークがないために販売できなくなるわけだ。

 そうした品でも、リサイクル業者が経産省に「製造事業者」の届け出をし、自主検査して新マークを表示すれば、販売が可能になる。だが、メーカーとしての責任が生じるほか、製造元の承諾を取り付けないと商標法などに触れる恐れもある。そもそも「店で扱う品の種類が多く、検査技術者の確保が難しい。安さが魅力の中古品販売であり、経費をかけるのは現実的に難しい」(総合リサイクル店「生活創庫」)という実情がある。

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 経産省の〇四年度統計だと、中古品小売業者は全国で一万二千軒を超える。規制による影響は大きく、業界関係者は「経産省が推進しているリユース(再利用)政策に逆行する」と批判する。

 リース業界にも困惑が広がる。百五リース(津市)は今春、病院に貸していたテレビと冷蔵庫計八百台の契約期間が終わり、リサイクル業者に売却しようとしたが、今回の規制で不可能に。同社幹部は「販売禁止の影響は計り知れない。資源の無駄遣いだ」と話す。

 これに対し、経産省製品安全課は「廃棄は本望ではない。リサイクルと安全性はともに大事。新たに使える方策を考えてほしい。旧法にも安全性保証のマークがあり、マークを統一しないと消費者が混乱する。理解してほしい」としている。

 リサイクル業界や消費者には、電気用品安全法の施行を知らなかったという声も多い。経産省には二月に入り、連日百−百五十件の問い合わせが殺到。日本消費者連盟代表運営委員の富山洋子さんは、法の周知不足を指摘した上で「安全性が保証されている製品が、市場で流通できないのはおかしい」と疑問を投げ掛けている。

<メモ>電気用品安全法

 電気製品の安全性を高める目的で、2001年に施行。旧法(電気用品取締法)を改正し、完成品の全品検査の義務付けを拡大した。電気製品の製造業者や輸入業者は、出荷前に自主的に検査し、PSEマークを表示する。罰金や回収命令など罰則も強化した。

 マークがない製品の製造・販売の禁止には猶予期間があり、期間は品目ごとに違う。対象450品目のうち主要259品目は今年3月末で猶予が終了する。08年3月で101品目、残りも11年3月で猶予が終わる。対象製品でも、レンタルや輸出、個人間の売買は可能。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20060226/ftu_____kur_____000.shtml