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2006年02月21日(火) 00時00分

米BSE報告書 輸入再開はまだ早い 東京新聞

 日本向け牛肉に「特定危険部位」の背骨が混入していた問題で、米農務省が公表した報告書からは、混入の経緯は分かるが原因がはっきりしない。これでは日本の消費者の信頼は取り戻せない。

 大したことがないミスによるもので結果的に被害がなかったのだから即刻、輸入を再開してもらいたい−農務省の調査報告書をもとにした米側の主張を要約するとこんなことになるだろう。

 昨年末の米国産牛肉の輸入再開に際して、日本は牛海綿状脳症(BSE)の病原体が蓄積しやすい背骨などの完全除去を条件にしていた。

 牛肉に背骨が混入したのは、牛の処理施設と加工施設の双方と、それぞれに常駐する農務省検査官が対日輸出条件を十分に知らなかったことによるもので「例外的なケース」と米側は強調している。

 だが、多くの日本の消費者は額面通りには受け取らないだろう。

 というのは、第一に日本へ輸出された肉の中には農務省の許可を得ていない内臓も含まれていたからだ。

 第二に今回のケースとは別に先に農務省が公表した監査報告で、歩行困難牛二十九頭が米国内で食肉処理されたことが明らかになっている。 その後「歩行困難の原因はけが」と説明しているが、半数以上は原因の記録が残されていない。

 第三に、農務省から対日輸出認定を受けた四十施設のうち、背骨混入に関与した二施設のほかに、別の一施設も品質管理プログラム違反が発覚し、認定を取り消されている。

 こうした状況を総合すると、背骨の混入は本当に「例外的なケース」かどうか怪しくなってくる。

 牛肉の処理、加工施設、農務省の末端は相当にずさんで、規則の順守、検査態勢に構造的な欠陥があるのではないかとの疑いが出てくる。

 農務省は、まずこの疑問にきちんと答えなければならない。

 農務省は報告書と合わせて十五項目の再発防止策を明らかにした。

 施設への対日輸出条件の周知徹底、検査官の再訓練、輸出証明書に必要な農務省担当者の署名を従来の一人から二人に増やすなどだ。

 これ自体は評価するが、どれだけ態勢が改善されるかは日本側自身が確かめなければならない。近く査察団を派遣する農林水産、厚生労働両省は、日本の消費者の目が一段と厳しくなっていることを念頭に置く必要がある。

 米国では報告書の公表をもって今回の件を終わりにしたい考えだが、政治的圧力で輸入再開を迫っても日本の消費者が不信感を募らすだけであることを忘れてはならない。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20060221/col_____sha_____003.shtml