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2006年02月21日(火) 17時25分

わいせつ牧師 求刑通り懲役20年の判決 京都地裁毎日新聞

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背筋を伸ばして判決に聴き入る金保被告(左)=京都地裁で、イラスト・藤田哲哉    信者の少女7人に対する計22件の強姦(ごうかん)、準強姦罪などに問われた京都府八幡市の宗教法人「聖神中央教会」創立者の牧師、金保被告(62)の判決が21日、京都地裁であった。上垣猛裁判長は「牧師の地位を乱用し常習的に犯行を重ねた。性犯罪の中でも他に類をみないほど極めて悪質」として、改正前の法定刑の上限である懲役20年(求刑・同20年)=昨年1月から上限は同30年=を言い渡した。
 金被告は公判で「いかなる裁きも受ける」と述べていたが、弁護団によると判決後は「今は何も考えられない」と話し、控訴するかどうかは未定という。
 判決によると、金被告は01年3月〜04年9月、教会牧師室などで少女7人(当時12〜16歳)に、未遂1回を含め計22回の性的暴行に及んだ。「指示に従わなければ地獄で苦しみ続ける」との趣旨の説教を日常的に行うなどして、被害者を抵抗できない状態にしていた。
 上垣裁判長は「欲望のおもむくまま次々に性的暴行を加えた。被害者の痛手は限りなく深く、今後の成育および人生に多大な影響を与えることも懸念される」と述べた。
 また、公判での金被告の態度についても「事実を争わないと言いながら犯行がなかったかのような発言に終始している。謝罪の言葉すらなく、反省の態度はみられない」と厳しく指摘した。
 事件では、宗教的な背景があるかどうかが注目され、弁護側は「宗教とは無関係」と主張してきたが、上垣裁判長は「少女らは幼いころから家族ぐるみで教会での信仰中心の生活を送り、被告を神に最も近い存在と畏怖(いふ)・敬愛し、被告に逆らうことは神に逆らうことを意味し地獄に落ちると信じていた。性的暴行を拒絶することはおよそ不可能だった」とした。
 判決後に会見した弁護団は「説教に基づくマインドコントロールで抵抗不能になったと認めた点は疑問」と話した。【太田裕之、野上哲】
 ◇被害者、癒えぬ傷 今後も長いケアが必要
 被害者の会の村上密代表によると、少女らは当初、成人男性におびえたり、引きこもり状態になったが、徐々に回復。現在は個別に相談してくる程度で、高校や大学で日常生活を送っているという。
 しかし、将来、異性との交際や結婚、出産などを迎える際、被害の記憶がよみがえる「フラッシュバック」を起こす可能性もある。また、金被告が公判でも「争わない」と繰り返すだけで事実を認めて謝罪していないため、少女らは許せないまま憎しみを抱き続けざるを得ない。公判が終われば金被告に怒りをぶつける機会がなくなり、「(金被告に)教えられ育てられたことが情けない」などと自己否定に転じる恐れもあるといい、村上代表は「今後も息の長いケアが必要」と話す。
 一方、被害少女ら7人が金被告と教会を相手取り、慰謝料など総額2億3100万円の損害賠償を求めた民事訴訟は京都地裁で係争中。教会は今回の刑事事件で認定された少女5人の被害事実を認めているものの、法的責任や賠償義務はないと争っている。
(毎日新聞) - 2月21日17時25分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060221-00000028-maip-soci