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2006年02月19日(日) 03時16分

著作権者の承諾なしに作品写真…名古屋市美術館の図録読売新聞

 名古屋市美術館(名古屋市中区)が、開催中の展覧会で販売しているカタログに、著作権者の承諾を得ないまま日本画の大家・前田青邨らの作品の写真を掲載していたことが18日、わかった。

 抗議を受けた同美術館は謝罪したが、「公立美術館の担当者が、著作権のことを知らないわけがない」と、著作権者側はあきれている。

 展覧会は3月26日まで開催中の特別展「『名古屋』の美術—これまでとこれから—」で、戦後に東海3県で活躍した作家や、公募した中堅・若手の作品を展示している。

 問題のカタログは、全出品作のカラー写真に作者の略歴などが付いたもので、1部2000円(税込み)で販売している。

 承諾がないのに写真を掲載していたのは、前田青邨の作品「富貴花」と、名古屋市在住の著名な彫刻家のブロンズ像。

 富貴花は同美術館が、ブロンズ像は愛知県美術館が所蔵しており、展覧会への出品は問題ないが、カタログなどに写真掲載する場合は、著作権法で版権が作者か、没後50年間は著作権者に帰属するため、承諾がいるという。

 しかし、前田作品については、著作権者に文書で通知を出したが、諾否の確認はしていなかった。また、彫刻家には全く通知していなかった。そのため、開会前日の今月3日の内覧会で、彫刻家の家族が、カタログに作品写真が掲載されているのに気づき、抗議した。

 名古屋市美術館がミスを認めて謝罪したため、彫刻家側は事後承諾の形で販売を認めた。家族は「有料販売するカタログへの掲載で、作者への許可申請を怠るのは横着としか言いようがない」と話している。

 一方、前田作品の著作権管理を任されている弁護士事務所では「どういう形でカタログに掲載するのか、事前に知らせるのがルールだ。承諾も得ずに、そのまま掲載するのはおかしい」と、同美術館の対応に驚いている。

 これに対し、同美術館の神谷浩学芸課長は「青邨さん側には早急に連絡し、承諾をもらうつもりだ。これまで、カタログ掲載などの承諾について、あいまいに対応していた例があり、今後はきちんと著作権法に沿って処理するように改めたい」と話している。

 著作権に詳しい名古屋大学法学部の鈴木将文教授は「1989年に藤田嗣治の展覧会で同様の問題があり、訴訟で著作権者側が勝利する形で和解している。美術品を扱う以上、著作権に関してはもっと注意を払うべきだ」と指摘している。
(読売新聞) - 2月19日3時16分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060219-00000401-yom-soci