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2006年02月18日(土) 16時54分

「不正侵入されても警察に届け出ない企業がほとんど」とFBIITmediaエンタープライズ

 「サイバー犯罪はより多様化し、ますます危険化している。グローバルな犯罪と戦っていくには、捜査当局だけでなく民間企業や学術団体の協力が不可欠だ」——米FBIのディレクターを務めるロバート・ミュラー氏は、RSA Conference 2006の参加者に向けてこのように述べ、業界全体の幅広い協力を求めた。

 ミュラー氏は、ID情報の盗難やDoS攻撃、ボットをはじめとするマルウェアのまん延といった脅威を挙げ、インターネットが国際的な犯罪のターゲットになっていると述べた。「米国内だけでなく、海外から仕掛けられる攻撃や犯罪も増加している。全世界にまたがる国際的捜査が求められている」(同氏)

 FBIは民間企業や他国の捜査機関との連携によって、一部のサイバー犯罪については成果を挙げているという。2005年8月には、Mytob/Zotobなどのワーム作成に関わった人物を逮捕したほか、赤十字との協力の下、ハリケーン「カトリーナ」に便乗して詐欺行為を行った男性も起訴した。

 興味深いことに、捜査を妨げる要因の1つは、被害を受けた企業やユーザーにあるという。「不正侵入によって被害を受けた企業のほとんどは、顧客の信頼を失ったり、マスコミ報道の槍玉に上げられることを恐れ、警察当局に届け出ようとしない」(ミュラー氏)。同じことはコンシューマーにも言える。同じくFBIのディレクターであるスティーブン・マルチネス氏によると「ID盗難の被害に遭ったコンシューマーのうち50%は警察に届け出ない」という。

 しかし、そうした姿勢は犯罪の解決にはつながらないという。「沈黙の掟を守ってもメリットはない」(ミュラー氏)。プライバシーの保護は約束するから、被害にあった場合は情報を提供し、ぜひ捜査に協力してほしいと呼びかけた。

 その後のパネルディスカッションでは、サイバー犯罪の国境を超えた広がりへの言及があった。

 米司法省の補佐官、アリフ・アリカーン氏が「最近のサイバー犯罪には、より高度化し、組織化が進み、しかも金銭的利益を狙うという3つの傾向が見られる」と述べると、EUの司法総局長官であるダニー・デ・テマーマン氏は「ヨーロッパにおいてもまったく同じ傾向だ」と述べた。

 テマーマン氏はこうした動きを踏まえ、国際的な捜査活動をより柔軟に進めるための、フレームワークの確立が必要だと述べた。FBIのマルチネス氏は「捜査の一環で、これまでまったくコンタクトを取ったことのなかったエストニアやルーマニアといった国々と共同捜査をすることになった。引き続き関係の確立に取り組んでいる」と述べている。

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(ITmediaエンタープライズ) - 2月18日16時54分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060218-00000003-zdn_ep-sci